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デヤン・ズラティカニン(モンテネグロ)VSマイキー・ガルシア(アメリカ)
WBC世界ライト級タイトルマッチ(2017年1月28日)
(出典:WOWOW)
ズラティカニンは昨年6月にフランクリン・ママニ(ボリビア)に3RKO勝ちしてタイトルを獲得。これが初防衛戦です。
18戦全勝11KO、32歳のサウスポーです。
163㎝の小柄な体ながら、迫力満点のパワーボクシングを展開します。
ガルシアは2年半のブランクの後、昨年7月にエロイ・ロハスを5回TKOに下して見事に復帰しています。(Sライト級)
35戦全勝29KO、29歳、WBC2位にランクしています。
復帰2戦目で早くも世界戦、しかも相手がズラティカニンでは、さすがのガルシアも荷が重いのではと思われていました。しかも、ライト級で戦うのはこれが初めてです。
マイキーのジャブでズラティカニンが中に入れない
168㎝のガルシアの距離で戦っては、ズラティカニンのパワーが発揮できません。
しかし、ガルシアの左ジャブは速くて強くてしかも正確で、ズラティカニンの突進を許しません。
2ラウンドに入ると、ズラティカニンはさらに頭を低くして、強引に飛び込んでいきます。
ガルシアはこれに対し、さらに左ジャブを多用し、時折、ワンツーストレートをヒットし、すでに右の距離はアジャストしている感じがします。
ズラティカニンも大きな左オーバーハンドを振るいますが、これはガルシアに読まれています。ただ、当たれば恐いパンチです。
衝撃的な結末
ガルシアの左ジャブに阻まれ、自分のボクシングを全くさせてもらえないズラティカニンは、さらに強引にパンチを振るって中に入ろうとします。
そしてパンチが届かず、身体が流れたところへ、ガルシアの右アッパーがカウンターでヒットしました。このパンチだけですでにズラティカニンは足に来ていましたが、さらに左の返しのパンチをテンプルにもらい、ロープにもたれかかるようにして、ガルシアに背を向ける格好になりました。
ガルシアは素早く背後に回り、ズラティカニンが体勢を立て直そうと、振り向いたところへ、ガルシアの狙いすました右ストレートが強烈にヒットしました。
ズラティカニンは完全に失神し、しばらく立ち上がれませんでした。
もちろん、レフリーはすぐにKOを宣言しました。3回2分21秒、ガルシアのKO勝ちです。
(右アッパーがカウンターでヒットし、左フックがテンプルをかすめズラティカニンが前のめりになってロープへ)
(ズラティカニンはガルシアに対して完全に背を向き、振り返った所へ狙いすました右ストレートを叩き込まれました)
(ズラティカニンは完全に失神)
(酸素ボンベが持ち込まれるほどのダメージでした)
別の角度からこの衝撃的なKOシーンを見てみましょう。
まずはアッパーカットから。ズラティカニンの体が前に流れたところへ、カウンターで決まりました。
これでほぼ決まったようなものでしたが、さらに左の返しがテンプルをかすめ、ズラティカニンが前のめりになり、ロープに顔を突っ込むような体勢になります。
そして振り返った所へ狙いすました右ストレートを叩き込みます。このパンチはいらなかったですね。
まさかズラティカニンが、こんなに早く王座から転落するとは思いませんでした。
ガルシアは、ホルヘ・リナレスとアンソニー・クロラの勝者と対戦することになります。
順当なら、ガルシアVSリナレスとなるでしょう。
パンチ力はガルシア、スピードはリナレスかな。身長は5センチほどリナレスが高いのですが、リーチはほぼ同じです。お互い右構えのオーソドックススタイルですし、距離はかみ合いそうですね。
ライト級でのキャリアではリナレスに利がありますが、3敗すべてがKO負けのリナレスの打たれ弱さは気になります。ガルシアのパンチを貰ったら、あっさり終わりそうですね。