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リッキー・バーンズ(イギリス)VSジュリアス・インドンゴ(ナミビア)
WBA・IBF世界Sライト級王座統一戦(2017年4月15日)
(出典:WOWOW)
リッキー・バーンズは、47戦41勝14KO5敗1分け、34歳。3階級制覇の歴戦の雄です。
一方のジュリウス・インドンゴは21戦全勝11KO、34歳のサウスポー。
昨年12月にエデュアルト・トロヤノフスキーを40秒でKOし、IBFタイトルを獲得。世界中のボクシングファンをあっと言わせました。
インドンゴは、この世界挑戦が初めての海外での試合で、それまではすべて自国ナミビアでしか試合をしていません。ボクシングマガジン誌はこのミステリアスなナミビア人を「アフリカの謎」と称しています。
ともかく、インドンゴにとっては、この統一戦が真価を問われる一戦となりますね。
前評判はもちろん実績のあるバーンズが有利です。
初回からインドンゴがペースをつかむ
インドンゴはとにかく手数が多く、右ジャブから左ストレートをパンパンと打ち込みます。ほとんどクリーンヒットはありませんが、攻防分離型のバーンズはガードに忙しくて、全く手が出ません。
インドンゴはヒットしようがしまいが、お構いなしにパンチを放ちます。
しかも、身長は1㎝しか変わらないのに、距離が全然違います。長いリーチと極端に半身に構えたサウスポーのインドンゴは距離が長く、しかも自分の距離を完全にキープしてバーンズを寄せ付けません。
距離の合わないバーンズはますます手数が減り、インドンゴの一方的な展開になっていきます。
中盤からインドンゴがペースを上げる
完全にペースをつかんだインドンゴは、さらにプレッシャーを強め、得意の左オーバーハンドもかなり思い切り振ってきます。
(序盤はほとんどクリーンヒットしなかった左も、バーンズをとらえるようになります)
序盤はほとんどインドンゴのパンチをカバーしていたバーンズですが、中盤辺りから少しずつヒットを許すようになってきました。
後半は失速するかと思われたインドンゴですが、むしろピッチを上げてバーンズを追い込みます。
決してパンチ力があるとは思えませんし、さほどスピードがある訳でもないのですが、とにかくパンチを打つテンポが速く、相手に反撃の隙を与えません。
なにもできずに終わったバーンズ
後半になってもバーンズの手数は一向に増えません。右ストレートのカウンターを狙っているようですが、インドンゴはダッキングがうまく、このパンチをうまくかわします。
ジョー小泉さんが「インドンゴは左もいいですが、意外と右フックをうまく使って相手の攻撃をかわしていますね。」という通り、この右フックを結構効果的に使います。
バーンズは12ラウンド、一体何をしてたのでしょうね。
ほとんどパンチを出しませんし、クリーンヒットもほとんど記憶にありません。
一方のインドンゴは、最後まで手数が減りませんでした。タイトルを獲得した試合は40秒しかボクシングをしていませんでしたが、スタミナも十分あることも証明して見せました。
判定は3-0(120-108、118-110、116-112)でインドンゴの文句なしの勝利。
私はフルマークでインドンゴの勝ちとしましたが、116-112を付けたジャッジは一体バーンズのどこを評価して4ポイントも与えたのでしょうか。
こういう極端に違う採点をするジャッジは、しっかり検証して、問題があるようなら処分する姿勢が必要ですね。
バーンズはもう引退していいでしょう。もともとなんの魅力もないボクサーですからね。
インドンゴは「強い」という印象はありませんが、いつの間にか相手を圧倒する、不思議なボクサーです。とにかくパンチの打ち方が独特です。
西岡さんは「意外と打たれ弱いかも」と言ってましたが、私もトロヤノフスキーともう一度やってもらって、それを確かめてみたいと思いました。今度はあっさりとトロヤノフスキーが勝つかもしれません。
いずれにしても、テレンス・クロフォードには歯が立たないと思います。