目次
以前に、読書について書いたのが2015年です。
この2年ほどはボクシング以外の記事をほとんど書いたことがありませんので、久しぶりに「面白かった本」ご紹介したいと思います。
だまされたと思って、一度読んでみてください。
ただ、だまされた方の苦情は勘弁してください。
長岡弘樹さん「白衣の嘘」
相変わらずこの人の短編はキレがいいですね。
タイトルが示す通り、病院を舞台にした人間ドラマです。
もう少し明るいタッチで、できればハッピーエンドであればいうことないのですが、そうなるとキレがなくなるかもしれませんね。
今年の3月に読みましたが、私の中では今年読んだ小説のナンバー1です。
ちなみに長岡さんの作品で一番のお勧めは「傍聞き(かたえぎき)」です。これは最高ですね。
乾くるみさん「スリープ」
実はこの本を読むのは2回目です。ところが前に読んだ記憶がほとんどありません。
冷凍保存した人間を科学が発達した30年後に再生させるという話です。
冷凍保存した人間は天才亜里沙という少女で、それを再生させたのは、亜里沙と同級生の44歳になったノーベル賞科学者の戸松。
ところがこの再生された14歳の少女は複製で、本物はアメリカにいました。
はらはらさせるサスペンスタッチの展開で、しかも奇想天外。
2回も読んでいるのに、とことろどころ理解不能なところがありました。
乾さんの小説は細かいところまで仕掛けがしてあるので、油断して読んでるとうっかり見落とします。
この人の「イニシエーションラブ」にはすっかり騙され、これも2回読みました。
樋口有介さん「ぼくはまだ横浜でキスをしない」
なかなか面白い展開でした。そして、相変わらず樋口さんの小説にはかわいい少女や、美人の女性がたくさん登場します。
主人公アキオの親父が刑事たちの策略で、盗撮犯人として捕まります。盗撮された女子高生もグルです。
その女子高生が殺され、猫に憑依して10年間、アキオを待っていました。
アキオは資産家の同級生の女の子と知り合い、そこから事件は急展開します。
一般の評判はそれほどでもありませんが、私はこの作家が好きなので、かなり身びいきが入ってると思います。
東野圭吾さん「夢幻花」
黄色い朝顔の種は幻覚作用があるようです。私は、伏線がいくつもあるのに、最後までこのことに気が付きませんでした。
週2冊ペースで、年間100冊ぐらいは読むのですが、「読みが浅く、しかも読み方が雑」と言われます。
とにかく、このこと(幻覚作用)が分からなかったので、周りのすべてがさらにわからなくなりました。最低の読者ですね。
負の遺産の継承。そういう家族もあるのでしょうね。
久しぶりに一気読みしました。
松岡圭祐さん「千里眼」(注意!いきなり種明かしアリ)
なんとも恐ろしいテロ宗教団体。しかし、その教祖はカウンセラーの千里眼と呼ばれた岬(主人公の女性)の尊敬する病院長、友里でした。(あ~いきなり種明かし)
刑事の蒲生と自衛隊キャリアの仙堂らとともに、この悪魔の強打に立ち向かう、という話です。
しかし、岬はスーパーウーマンすぎますね。絶対にありえません。
でも、スーパーウーマンだからこそ、そのスリルとサスペンスは群を抜いています。
「ミドリの猿」、「運命の暗示」、「洗脳試験」と第四弾まで続きます。
この本、友人から「あまり面白くないけど読む?」と言って貸してくれたものです。
池井戸潤さん「ロスジェネの逆襲」
この人の小説は裏切りませんね。痛快で実に気持ちがいいです。
テレビで最後に「半沢直樹」が証券会社に出向させられた後の話です。
合併しようとするのが銀行、されまいと抵抗するアドバイザーが、その銀行の子会社の半沢直樹の証券会社です。
それぞれの立場の人間像が見事に描かれています。そして何よりもハッピーエンドであることが素晴らしいですね。
小林泰三さん「安楽椅子」
探偵事務所に客がとんでもない話を持ち込むのですが、それを順番に聞いて、問題を解決していきます。
よくあるパターンですが、奇想天外な難題ばかりで、最後はどうも腑に落ちない解決で終わってしまいます。
短編連作で、最後にワトソン役の女性が問題解決の論理的矛盾を指摘し、すべての犯行は探偵が仕掛けたことだと論破します。
北川恵海さん「ちょっと今から仕事やめてくる」
この本、タイトルにひかれて図書館で予約しましたが、なんと1年も待たされました。
映画化されますので、ここでは内容紹介は省きます。
今野敏さん「神南署安積班」
おなじみの安積係長以下5人の強硬班係と速水警部補が登場します。
短編集です。
犯人逮捕よりメンバーの人間性に焦点を当てた警察ものです。
実に気持ちのいい話ばかりで、気分がすっとしますよ。
佐々木譲さん「巡査の休日」
おなじみの北海道警察シリーズです。「笑う警官」が有名ですね。
いつものメンバーがバラバラの事件を追います。
殺人犯の逃亡、ストーカー、ひったくり。
これらの事件が最後に集約し、一気に解決します。
そして、やっと休日が訪れます。
この捜査の方法は間違っていないのか?
見当違いの可能性は?
確信の持てない推測でありながら、やがて核心に迫っていきます。
不思議な警察小説ですが、一方で「出来すぎ」の感も多少ありますね。まあ、そこが小説のよさでしょう。
最近はほとんど図書館で予約して借りますし、事前に内容をある程度吟味しますので、「はずれ」それほどありません。こらアカン」は年に5冊ぐらいでしょうか。
むしろ、ネットなんかで適当に購入した方が失敗が多いですね。