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カール・フランプトン(イギリス)VSスコット・クイッグ(イギリス)
WBA・IBF世界Sバンタム級王座統一戦(2016年2月27日)
(出典:WOWOW)
イギリス人同士の注目の一戦は2万人の観衆を集めて行われました。
今のイギリスのボクシング人気は、うらやましい限りです。世界チャンピオンの数も10人以上いて、アメリカやメキシコを押さえてなんと世界トップです。
日本では、山中慎介の試合でも5~6千人ぐらいしか入りませんでしたからね。しかもWタイトルマッチです。
W世界戦といえば、一番人気のある井岡一翔と高山勝成の年末の世界戦でも9500人、井上尚弥&八重樫東のW世界戦も7000人で、いずれも1万人には届いていません。
フランプトンは21戦全勝14KO、29歳。
クイッグは33戦31勝23KO2分、27歳。2014年11月に日本の大竹秀典大差の判定勝ちでタイトルを防衛しています。
身長はフランプトンの165㎝に対し、クイッグは173㎝。
2人の前試合はこちら ↓
消極的なクイッグ
実力者同士の対戦はえてしてお互いをリスペクトしすぎて、駆け引きの多い凡戦になることがありますが、まさにこの二人の対戦がそれにでした。
体が硬くて不器用なクイッグは、動きの速いプランプトンのパンチを警戒しすぎて、ガードを固めほとんどパンチを放ちません。
一方のフランプトンは左ジャブが多彩で、時折、クイッグの高いガードの隙を破ってクリーンヒットを決めます。
前に出てプレッシャーをかけるのはフランプトンで、クイッグはガードを固めて下がるだけ。クイッグはフランプトンのうち終わりを狙ってカウンターを放ちますが、距離が合わず空転するばかりで、前半は完全にフランプトンのペースで試合が進みました。
(6ランドのフランプトンのアッパーは二人のスキルの差を感じさせました)
8ラウンドからようやくエンジンがかかるクイッグ
クイッグが前に出る展開に変わったのは8ラウンド。
クイッグがようやく前に出て攻勢をかけます。しかし前に出ても相変わらず手数が少ない。むしろフランプトンのコンパクトなパンチの方がヒットしているように思えました。
それでも強引に打つパンチがフランプトンをとらえ、ジャッジに攻勢を印象付けました。
解説の西岡利晃さんは「フランプトンはボディワークが上手いですね。クイッグのパンチをうまく殺しています。」
(一応クイッグのパンチは当たってはいますが、フランプトンのボディワークで芯を外されています)
終盤にやっと盛り上がる
お尻に火が付いたクイッグが11ラウンドは強引に前に出ます。
このラウンドは、さすがのフランプトンもややスタミナ切れの感じでした。
しかし、フランプトンも負けてはいません。お互いに強烈なボディブローを打ち合い、一歩も引きません。これは見応えがありました。
このシーンを初回から見たかったですネ。
(ようやくクイッグのジャブもヒットし出します)
圧巻は、クイッグがフランプトンをロープに詰めて放った右ストレートです。これは効きましたね。少し足にきていました。
ここで詰め切れないのがクイッグとフランプトンの差です。やっぱりフランプトンが一枚上でした。
(クイッグが放った会心の右ストレート、この試合で唯一ダメージのあったパンチです)
判定は2-1(113-115、116-112、116-112)と割れましたが、私は明らかにフランプトンの勝ちだと思いました。