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ギャビン・マグドーネル(イギリス)VSホルヘ・サンチェス(パナマ)
WBCシルバーSバンタム級王座決定戦(2016年2月27日)
(出典:WOWOW)
ギャビン・マグドーネルは亀田和毅からWBA世界バンタム級タイトルを奪ったジェイミー・マグドーネルの双子の弟です。
16戦14勝4KO2分、29歳、WBC9位。身長175㎝の長身ボクサーです。
一方のホルヘ・サンチェスは14戦全勝9KO、WBC14位。
パナマといえば山中慎介が大苦戦したアンセルモ・モレノを思い出しますが、サンチェスはモレノとは全く違う、背の低いファイタータイプです。ボクサータイプが多い印象があるパナマ人ボクサーでは珍しいですね。
でも時々、パナマらしさを意識するのか、変なスェーバックを見せていました。
非力なパンチでもタイミングでダウンを奪える
初回からサンチェスは前に出てプレッシャーをかけ、マグドーネルが下がりながら、左ジャブ、右ストレートをコンパクトにヒットさせます。
サンチェスは手数が多いもののパンチの精度が悪く、クリーンヒットはほとんどありません。
2ラウンドに入り、解説のジョー小泉さんが「ギャビンは16戦して4KOの戦績通り、パンチ力はなさそうです」といった途端、マグドーネルの右ストレートがクリーンヒットし、サンチェスがあっけなくダウンしました。
(右でボディを打って左ストレートから右ストレート。お手本のような上下の打ち分けでした。)
タイミングで倒れたダウンでしたので、ダメージはほとんどなく、3ラウンドはこのダウンを挽回しようと、サンチェスはさらにプレッシャーを強めて前に出ます。
そしてロープに詰めて放った右フックがマグドーネルの顎をとらえました。
この一発は効いたようです。マグドーネルが膝がガクッと落ちましたから。
しかし、そこからのラッシュは全くパンチの精度を欠いており、ほとんど一発もクリーンヒットしませんでした。
マグドーネルは見た目通り打たれ強くはないようです。まあ、パンチ力だけはサンチェスの方が一枚上かもしれません。
しかし、この試合でサンチェスのパンチがクリーンヒットしたのは、おそらくこの一発だけだったと思います。
避け勘の悪いマグドーネル、当て勘の悪いサンチェス
ジョーさんが「マグドーネルは決してディフェンス良くないですね。サンチェスの当て勘が悪すぎるんですよ」と言うように、マグドーネルには、パンチを見切る力や天性の勘みたいのものは感じられませんでしたね。
ジャブを打ったらすぐに左がガードの位置に戻りますし、頭を絶えず動かし、相手に的を絞らせない「基本的な技術」がしっかりしてるだけで、運動能力に特に秀でたものはなさそうです。あ~スタミナは結構ありますね。
4ラウンドからはもうビデオテープを見ているような錯覚に陥るほど、全く同じ展開のラウンドが続きます。
ぼやっと見ていたら、何ラウンドかわからなくなります。
サンチェスが前に出て、当たりもしないパンチを振り回し、マグドーネルがコンパクトな左ジャブから右ストレートのカウンターで応酬。パンチ数は変わらないかもしれませんが、ヒットするのはマグドーネルのパンチだけです。
終盤はマグドーネルの一方的展開
9ラウンドあたりから、サンチェスには打たれ続けたダメージと、当たらないパンチを打ち続けてスタミナを消耗し「怖いパンチはない」と見切ったマグドーネルが、前に出て先にパンチを打つ展開に変わりました。
ボディも効いてきているようですが、いかんせんマグドーネルは16戦4KOの非力なパンチ力しかなく、自分から打って出て倒すパワーがありません。
最終回はあと一歩でダウンを奪えるほど、サンチェスのダメージが深刻な状態まで追いつめられましたが、決め手に欠くマグドーネルは結局仕留めることがでいませんでした。判定は3-0(119-109、118-109、118-110)でマグドーネルの圧勝。
カール・フランプトンVSスコット・クイッグのアンダーカードということで、2万人の大観衆の前で行われたこの試合ですが、残念ながらマグドーネルはファンにアピールすることはできなかったようです。