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オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)VSタビソ・エムチュヌ(南アフリカ)
WBO世界クルーザー級タイトルマッチ(2016年12月17日)
(出典:WOWOW)
ウシクは10戦全勝9KO。3か月前にクシシュトフ・グロワツキ(ポーランド)に勝ってタイトルを獲得し、早くも防衛戦を迎えます。
タビソ・エムチュヌは、19戦17勝11KO2敗。WBO11位。
ウシクは前回、敵地ポーランドで戦い、今回がアメリカ初登場です。
派手なKOで衝撃的なデビューを果たしたいところですが、すべてが中途半端で、ロマチェンコのようにはいきませんでした。
軽快なフットワーク
さすがにロマチェンコみたいなわけにはいきませんが、ウシクはクルーザー級とは思えない軽快なフットワークで右ジャブを放ちます。
そして、挑戦者のエムチュヌの身長は179㎝で決して小柄ではありませんが、ウシクは191㎝の長身で、エムチュヌがとても小さく見えます。2階級は違う感じでしたね。
そんなウシクに軽快に動かれて、しかもしつこく右ジャブが飛んでくると、なかなかこのクラスのボクサーでは対応できないでしょう。
徐々にエンジンが全開に
この日も相手が同じサウスポーということもあって、右ジャブを突きながら、エムチュヌの周りを慎重にサークリングして、様子を見ます。
そしてラウンドを重ねるごとにジャブの数が増え、長身を生かした左の打ち下ろしを放ってきます。
時折、ロマチェンコのように素軽いフットワークで、エムチュヌの左右に回り込み、横からパンチを放ちます。
5ラウンドには完全にペースをつかみ、自分の距離でコンパクトなコンビネーションでエムチュヌを圧倒します。
しかし、決して強いパンチではありません。手数で倒すタイプです。
6ラウンドのダウンも、ウシクの執拗な連打で、エムチュヌがウシクの攻撃を回避するように、しゃがみ込んでしまったものです。
(ウシクの執拗な連打でしゃがみこむエムチュヌ)
一気に倒さない
7ラウンドは休息。決して強引に倒しに行きません。
疲れからか8ラウンドの攻めは、精度を欠き、雑な攻撃になっていましたが、9ラウンドは丁寧でコンパクトなパンチに修正してきて、あとは滅多打ち。
(エムチュヌは、どのパンチが効いたとかではなく、とにかくダウンすることで相手の攻撃を回避)
深刻なダメージを負ったわけではないので、エムチュヌは一応立ってきますが、再びウシクの連打にさらされます。
さすがにレフリーもこれ以上の続行を許しませんでした。
なんとも地味なダウンです。KO勝ちにも関わらず、まるで大差の判定勝ちのような印象です。最後ぐらい、もっとためてパンチを打ってほしかったですね。
ちなみに、カリフォルニア州の規定で、レフリーがストップしても、KO勝ちということです。