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テレンス・クロフォード(アメリカ)VSジョン・モリナ(アメリカ)
WBC・WBO世界Sライト級タイトルマッチ(2016年12月10日)
(出典:WOWOW)
クロフォードは、リング誌のPFP(パウンド・フォー・パウンド)でも5位にランクしているスーパースター候補です。2014年にユリオキス・ガンボアにKO勝ちして、一躍スターダムにのし上がってきました。
29戦全勝20KO、29歳。WBCとWBOの世界タイトルを保持し、Sライト級では抜きんでた存在です。
モリナはWBO2位にランクしていますが、前日計量で4ポンドもオーバーして、失格。罰金を払ってこの試合に挑みます。
もちろん、仮に勝ってもタイトル獲得は出来ません。
35戦29勝23KO6敗、33歳。
浜田さんは「昔は死ぬ気で減量したものですよ」と言ってましたが、同感です。
モリナはこれでランキングから姿を消すでしょう。
「強くて上手くて速い」クロフォード
クロフォードはスイッチヒッターで、右構えでもサウスポーでも戦えます。
スタート時点ではオーソドックススタイルでしたが、すぐにサウスポーにスイッチしました。
最近の試合はほとんどこのパターンで、今日もおそらく最後までサウスポーで戦うと思います。
右構えの時はモリナも、持ち前の馬力でクロフォードに襲い掛かりましたが、サウスポーにスイッチした途端、手が出なくなりました。
モリナは身長179㎝でがっちりした体つきをしていますが、この日はお腹のあたりが少しゆったりしている感じでした。ちなみにクロフォードは173㎝です。2階級ぐらい違うように見えましたね。
2ラウンドではもう完全にクロフォードがペースをつかみ、右ジャブを突きながら、右にサークリングし、モリナが入ってくると、左アッパーをボディ、顔面にヒットします。
(モリナが入ってくるとこの左アッパーが待っています)
2ラウンドを終わった時点で、もうクロフォード陣営に楽勝ムードが漂います。
クロフォードはスパーリングのように涼しい顔をしていました。
やりたい放題のクロフォード
3ラウンドにモリナの右フックがクロフォードの顎をとらえましたが、恐らくモリナがこの試合でクロフォードに当てたパンチは、これ1発だけだと思います。
モリナが前に出てパンチを打とうとするが、その前にクロフォードに右ジャブが先にヒットし、中に入ろうとすると、左アッパーがボディへ、さらに顔面へと飛んできます。
この展開が6ラウンドまで続きます。まさにクロフォードのやりたい放題。モリナも必死で前に出てパンチを振るいますが、かすりもしません。距離が全くあっていませんし、フットワークのスピードが違います。
足を止めて倒しに来るクロフォード
7ラウンド後半から、さすがのモリナも動きが少し悪くなってきました。
このラウンドに、クロフォードのパンチがかなりヒットしました。
そして、8ラウンドにクロフォードが倒しに来ました。
バックステップをやめ、足を止め力を込めてパンチを打つようになりました。
クロフォードのパンチが面白いようにヒットし、ついにクロフォードが前に出て、モリナをコーナーに詰め、滅多打ちにします。
(この試合初めて前に出たクロフォードがモリナを追いつめます)
(モリナをコーナーにくぎ付けにして滅多打ち)
右フックのボディブローでモリナが膝を崩し、レフリーが割って入って試合をストップしました。
クロフォードは手堅いボクシングをしますね。
相手が弱るまでは決して無理をしません。負けるシーンが考えられないボクサーの一人です。
本当に上手くて強くて速くて、そしてクレバーです。
でも、実は好きなボクサーではありません。KO負するシーンを見たいですね。