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ホルヘ・リナレス(ベネズエラ・帝拳)VSアンソニー・クロラ(イギリス)
WBA世界ライト級タイトルマッチ(2017年3月25日)
(出典:WOWOW)
私には、なぜダイレクトリマッチをやるのかわかりません。それほどの激戦でも、微妙な判定でもなかったと思います。
おそらく、「お金」で実現したのでしょうね。ゴールデンボーイのオスカー・デラホーヤ氏が画策したようです。
余談ですが、デラホーヤ氏は顔がパンパンに膨らんでいて、ひょっとしたら現役時代から2倍ぐらいに太ったンじゃないでしょうか。
とにかく、マンチェスターの会場にこれだけの観衆を集めたのですから、大したものですね。細かいルールより、プロの世界ではまずお金が優先するのは仕方がなことです。
でも、クロラみたいなつまらないボクサーに、なぜこんなに人気があるのか不思議でなりません。まあ、男前ですけどね。
ホルヘ・リナレスは44戦41勝27KO3敗、31歳。
アンソニー・クロラは39戦31勝13KO5敗3分け、31歳。前WBA王者です。
リナレスがスピードの違いで圧倒
リナレスは、2ラウンドにリズムをつかむと、3ラウンド以降は、前に出てプレッシャーをかけてくるクロラに、コンパクトなカンターを再三ヒットします。
クロラは前に出るものの、パンチの距離がつかめず、リナレスのフットワークにことごとくかわされていましいます。
この日のリナレスは右アッパーが冴えわたっていました。クロラが接近したところへ、絶妙の右アッパーをヒットさせ、これが面白いようにヒットしていました。
ダウンを奪ったのは左アッパー
完全にクロラのパンチを見切ったリナレスは、前に出てプレッシャーを強めるクロラにコンパクトなカウンターをヒットさせ、右アッパーでクロラの顎を跳ね上げます。もう、やりたい放題です。
そして、7ラウンド。クロラの右をダッキングでかわし、左アッパーをカウンターで黒なの顎をかすめるようにヒットさせると、クロラはガクッと前に崩れ落ちるようにダウンしました。
ダウンの仕方を見ると相当ダメージがあるように思えましたが、立ってきたクロラはリナレスのラッシュに耐え、リナレスも深追いをしませんでした。
(クロラの右をダッキングでかわし、左アッパーをカウンターでヒット)
(左アッパーが顎をかすめ、クロラは前に崩れるようにダウン)
ダウンを奪った後リナレスが失速
KOチャンスの8ラウンドは、クロラが逆に反撃に転じました。
前のラウンドでスタミナを消耗したのか、リナレスは少し集中力を欠き、不用意にクロラのパンチを浴びるなど、プレッシャーを強めたクロラに押され気味になります。
リナレスも、要所要所でコンパクトにカウンターをヒットし、完全にクロラにペースを譲ることはありませんでしたが、全体的にはクロラのパワーに押され気味で、動きに前半ほどのキレがなくなってきました。
後半のリナレスのボクシングは少し雑な感じで、これが生放送ならかなり不安を感じたと思います。
(コンパクトなカウンターでクロラの前進を捌く)
クロラは本当にタフで体幹が強いですね。
リナレスは、最後までパンチのスピードが落ちることなく、クリーンヒットの数では上回るものの、時折集中力を欠く、悪い癖が目立ったような気がします。
それでも、採点はリナレスの大差判定勝ちでした。3者とも118-109で、全く私の採点と同じでした。
しかし、点差ほど楽な試合ではなかったと思います。
クロラはこれといったテクニックもパンチ力もありませんが、スタミナと体幹の強さだけはリナレスを上回っていましたね。
さぁ、いよいよ次はマイキー・ガルシアです。
ガルシアのパンチを完封し、コンパクトなカウンター、特に右アッパーをヒットさせることが出来れば、勝つチャンスもあると思いますが、12ラウンド集中力を欠かさず戦うのは大変なことです。
スピードではリナレスでしょうが、リナレスの場合はこのスピードを駆使するとスタミナをかなり消耗するような気がします。集中力を欠いて、ガルシアの強打をあびたら、その時点で終わってしまうでしょう。