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マット・コロボフ(ロシア)VSイマヌエル・アリーム(アメリカ)


ミドル級10回戦(2019年5月11日)
コロボフは、30戦28勝14KO2敗、36歳のサウスポー。WBA・WBC14位。
2敗は、世界戦でアンディ・リー、ジャーマル・チャーロに判定負けしたものです。特にチャーロ戦は、大接戦であと一歩及びませんでした。再起戦をスカッと勝って、世界戦線への再浮上を狙います。
アリームは、20戦18勝11KO1敗1分け、25歳。
元WBCシルバーミドル級チャンピオン。唯一の1敗は2017年8月にウーゴ・センティーノにまさかの3RKO負けを喫しました。アリームもこの試合で、世界戦線への再浮上を狙っています。
再浮上を賭けた試合
序盤はコロボフが距離を支配
体格は同じぐらいですが、ややコロボフの方が高く見えます(5㎝差)。アリームは結構スピードがありますね。コロボフは立ち上がり、かなり慎重です。サウスポーのコロボフの懐が深く、アリームのパンチが届きません。コロボフがじわじわ前に出ますが、まだ手数は少ないですね。コロボフが自分の距離で戦っている感じです。
3ラウンドにアリームが出てきました。しかし、的確にパンチをヒットしているのは、コロボフですね。アリームはまだ距離が掴まていません。それでも少しずつ距離を詰めて、パンチが当たるようになってきました。
中盤は互角の打ち合い
序盤手数が少なかったコロボフも、4ラウンドに入ると、上下にパンチを放つようになってきます。しかし、接近するとアリームの左フックもヒットしています。アリームもようやく右の距離が掴めてきた感じです。接近するとコロボフがホールディングで、アリームの攻撃を阻みます。コロボフは左ストレートよりも、右フックの方が威力がありそうです。5ラウンドは、アリームの積極性が目立ちます。しかし、コロボフは下がりながら、ショートのカウンターをヒットさせます。
前に出て距離を詰めるアリームですが、接近するとコロボフのクリンチで攻撃を寸断されます。6ラウンド中盤、コロボフの左がヒットし、アリームに少しダメージを与えた感じです。
終盤はアリームの攻勢が目立つ
7ラウンドは、アリームがリズムを取り戻しました。コロボフは少し休んでいますね。8ラウンドもアリームが積極的に前出てパンチを放ちます。コロボフは下がりながら、コンパクトなカウンターをヒット。手数では断然アリームですが、クリーンヒットはコロボフが上かな。
9ラウンドは、アリームはかなり強引に前に出ます。しかし、コロボフも打ち終わりにコンパクトなパンチで応戦します。しかし、コロボフの動きにやや疲れが見えます。スタミナではまだアリームに余裕がりそうです。終盤は、アリームの連打がヒット。最終ラウンドはお互い激しい打ち合いを演じます。かなり危ないタイミングでお互いのパンチが交錯します。残り30秒辺りで、アリームの効果的なパンチがヒットし、コロボフが防戦一方に追いやられます。
コロボフは終盤、完全に失速しましたね。
判定は微妙ですよ。2-0(95-95、96-95、97-93)でコロボフが判定で世界戦線に何とか生き残りました。
ところが、集計ミスが発覚し、1-0(95-95、95-95、97ー93)のマジョリティドローで引き分けとなりました。再浮上を狙うコロボフにとっては、痛い引き分けですね。
ここでちょこっと ボクシング 用語解説
引き分けにも3種類あります。
ジャッジ3人が引き分けとした場合は、全員一致のドローを「ユナニマスドロー」と言います。
ジャッジ3人の採点が一致しない、三者三様のドローを「スプリットドロー」と言います。
そして、今回のようにジャッジ2人が引き分け、もう一人はどちらかを優勢とした過半数のドローを「マジョリティドロー」と言います。