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井岡一翔(日本)VSマクウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)
WBCシルバーS・フライ級タイトルマッチ(2018年9月8日)
(出典:WOWOW)
井岡は、23戦22勝13KO1敗、29歳。WBA2位。
一度引退して1年5か月のブランク、初めての海外での試合、しかも1階級上げて。これだけのハンデがあり、相手は世界のトップクラスの強豪が相手です。
多くのボクシングファンは、かなり厳しい戦いを予想し、ひょっとすると倒されるかもしれない、と思った方もいるのではないでしょうか。
アローヨは、20戦17勝14KO3敗、32歳。WBCシルバーチャンピオンです。
WBCでは3位、WBOでも3位にランクされるパワフルなファイターです。井岡の復帰初戦としては、かなり荷が重い相手ですね。
ブランクを感じさせない動き
1R)
身長は165㎝の井岡の方が若干高いようですが、体つきはやはり線が細く、肉付きに少しゆとりがあり、引き締まった感じがしませんね。
しかし、動きは全盛期と全く遜色なく、左ジャブ、左ボディブローが堅いガードのアローヨにヒットします。
アローヨのパンチはモーションが大きく、井岡は楽に見切っていますね。ただ、パンチはパワフルで、特にアッパーは威力がありそうです。
2R)
アローヨが前に出てプレッシャーをかけますが、先に井岡の左ジャブがヒットします。
アローヨは後手後手に回っている感じで、後半はむしろ井岡の方が前に出てアローヨを後退させます。
3R)
アローヨがさらに強めに出てきました。ちょっと井岡が押されています。
アローヨの手数も増えてきました。
しかし、井岡もアローヨのプレッシャーに押し負けていません。
この回は、アローヨのポイントかな、と思った瞬間、井岡の電光石火のワンツーがヒットし、アローヨがダウンしました。
(左ジャブから右ストレート。この右ストレートが速かったですね)
(反対側から)
(上から俯瞰すると)
いや~見事なワンツーでしたね。
アローヨがカウント8で立ってきたところで、ラウンド終了のゴングが鳴りました。
4R)
アローヨがガードを固めて、出てきます。どうやらダウンのダメージはなさそうですね。
しかし、井岡はディフェンスも完璧です。ボディワークと軽いステップで、アローヨのパンチをことごとく外します。
今日は左ジャブが素晴らしいですね。解説の飯田覚士さんがべた褒めしています。
ラウンドの前半はアローヨが前に出てプレッシャーをかけますが、後半は井岡が見事なコンビネーションで、アローヨを圧倒します。
特に井岡の左ボディブローは後半効いてくると思います。
5R)
井岡が左ボディブローから、結構強引に攻めこみます。
手数では、アローヨを圧倒していますね。
アローヨが下がります。ただ、パンチは重そうです。
ゴングと同時に放ったアローヨのパンチが、井岡の顔面をとらえました。(このパンチで井岡の左目が腫れてきます)
6R)
ここまで井岡はかなり手数も多く、オーバーペースで来ている感じは否めません。
やはり、体幹の強さはアローヨの方がありますので、井岡はかなり力を込めてパンチを放っている感じですし、押し負けないようにするため、相当スタミナを使っていると思われます。
この回も、前半はアローヨが前に出ますが、後半は井岡がプレッシャーをかけ、アローヨを下がらせています。
7R)
井岡の表情に余裕がなくなってきましたね。少し息があがっている感じです。
アローヨは前半、手数が少なかった分、スタミナに余裕があるようです。
アローヨが強引に打ってきます。井岡も負けじと応戦し、一歩も引きません。
ただ、この回あたりから少しずつパンチを被弾するシーンが見られるようになってきました。
8R)
ポイントで負けてると判断したアローヨが勝負に出ます。
井岡は左ジャブで距離をとり、打ち合いを避け、スタミナの温存を図っている感じです。
接近すると、アローヨが恐いアッパーを突き上げてきます。
前半に比べると、井岡がややパンチをもらうシーンが増えてきました。
ただ、ヘッドスリップパンチを殺し、まともにはもらっていません。
9R)
アローヨの手数が増えてきました。かなり強いパンチを打ちこんできます。
しかし、後半は井岡が押し返します。
そして、井岡の左フックがカウンター気味にヒットし、アローヨが大きく体勢を崩しました。
(フライ級の時なら、このパンチでダウンを奪っていたでしょう)
このパンチでダウンを奪えないのが、体幹の差かもしれません。
10R)
井岡の左目がかなり腫れてきましたね。
アローヨは逆転KOを狙って、ガンガン打ってきます。
井岡も左右のボディブローで応戦します。
アローヨの左フックがヒットしました。
しかし、井岡は最後まで手を休めず、そして、押し負けることなくパンチを放ちます。
判定は文句なく井岡の勝利です。3-0(99-90、97-92,97-92)。
最後まで倒しに行った井岡のファイトに脱簿です。すごいスタミナですね。タフなアローヨでなければ、KOできたと思います。
S・フライ級は井岡に任せて大丈夫でしょう。