目次
ジェルイン・アンカハス(フィリピン)VSアレハンドロ・サンチャゴ(メキシコ)
IBF世界S・フライ級タイトルマッチ(2018年9月28日)
(出典:WOWOW)
アンカハスは、32戦30勝20KO1敗1分け、26歳のサウスポーです。
パッキャオの後継者として、フィリピンでは大いに将来性を期待されています。今回が6度目の防衛戦となり、すっかり安定王者となってきましたね。
ちなみに、2016年に井岡一翔のアメリカデビュー戦の相手、マックウィリアムス・アローヨに大差で判定勝ちしています。(アンカハスが対戦したのは、双子の弟のマックジョー・アローヨでした。お詫びして訂正させていただきます。)
サンチャゴは、22戦16勝7KO2敗1分け、22歳。IBF14位。
井上尚弥のアメリカデビューの相手、アントニオ・二エベス(井上の6RTKO勝ち)と2016年8月に対戦し、引き分けています。
アンカハスにとっては調整試合みたいなもので、早い回で倒して、力差の差を見せ付けてくれいるでしょうね。
小さな的にてこずる
10㎝ぐらいアンカハスの方が大きく見えます。
アンカハスは、パッキャオ二世と言われるように、速いステップインでワンツーを放つボクサーです。
ただ、「わしボク」は前にも書きましたが、パッキャオに似ているようには思えないんですよね。
パッキャオよりスタイリッシュなサウスポーで、フットワークが軽く、オーソドックススタイルのような自然な構えをしています。
しかし、今回の相手は、遠い距離からアンカハスの打ち終わりを狙っています。
アンカハスの左ストレートは、ことごとくこの速いバックステップで外され、サンチャゴに届きません。
いつもは抜群の距離感で試合をコントロールするアンカハスが、小さな速い的に得意の左ストレートを打ち込むことが出来ません。
距離を支配しているのは、むしろサンチャゴの方です。
回を追うごとに、アンカハスの右ジャブも減ってきて、パンチが大振りになり、攻めが単調で、ほぼサンチャゴに読まれています。
作戦変更も一時しのぎ
後半は、追いかけても捕まらないアンカハスが、サンチャゴの攻撃を待ち、カウンター狙いに作戦を変更したようです。
待たれるとややサンチャゴの手数が減り、アンカハスが落ち着きを取り戻してきました。
しかし、このカウンター狙いに戸惑いを見せたサンチャゴも、終盤は前に出てパンチを放ち、アンカハスが打ち返した時には、もうそこにはいません。速いバックステップでアンカハスのパンチは空を切ります。
パンチが交錯する接近戦でも、パンチの回転が速いサンチャゴの方がクリーンヒットが多く、当て勘が良くディフェンスの固いアンカハスの方が、やや打ち負けている感じがします。
アンカハスは最後まで距離がつかめず、追い打ちをかけると体が流れる始末。とにかく手数が少なすぎます。
KOを量産していたアンカハスとは別人のように精彩を欠き、一方のサンチャゴは最終ラウンドまでフットワークが止まることなく、距離もペースもアンカハスに譲りませんでした。
「わしボク」には、サンチャゴの方が優勢に見えましたが、判定は1-1(116-112、111ー118、114-114)で引き分け。首の皮一枚残して、アンカハスが防衛に成功しました。
サンチャゴの悔しそうな顔が印象に残りましたね。完全に勝ったと思ったでしょう。