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ムラト・ガシエフ(ロシア)VSユニエル・トルティコス(キューバ)
WBA・IBFクルーザー級王座統一戦(2018年2月3日)
(出典:WOWOW)
WBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)の準決勝として行われます。
ヘビー級とライトヘビー級に挟まれて、今一つパッとしないクルーザー級でしたが、このWBSSのメンバーはなかなか豪華です。
4人とも現役世界王者で、しかも全員が全勝です。
同時に行われているS・ミドル級は、このクルーザー級に比べると、かなり見劣りしますね。
ガシエフは、25戦全勝18KO。しかも弱冠24歳です。IBF王者でこれが2度目の防衛戦となります。
解説の西岡利晃さんは、「破格のパンチ力」とガシエフの強打を評しています。
トルティコスは22戦全勝21KO、31歳。WBA王者。
ガシエフはアマチュア経験がほとんどないプロのたたき上げですが、トルティコスはキューバのトップアマです。
パワーのトルティコス
トルティコスはアマチュアのエリートですが、そのボクシングスタイルはKO率が示す通りパワフルで、プレッシャーをかけてガードの上から、ガンガン打ってきます。
ガシエフは下がりながらも、コンパクトなパンチをヒットします。
アマチュア経験がほとんどないとは思えないほど、ボクシングスキルが高く、当て勘も抜群にいいですね。
ガードを固めてますが、ディフェンス勘がよく、トルティコスのパワフルな攻撃をうまく捌き、クリーンヒットをほとんど許しません。
トルティコスは、そのほとんどの試合を4ラウンドまでに終わらせています。
ガシエフもそこは頭に入っているようで、序盤は守りに重きを置いています。
中盤からガシエフのペース
トルティコスの左ジャブは長くて威力十分ですが、ほとんどのパンチがガードの上で、クリーンヒットが少ないにのに対し、ガシエフのパンチは、数こそ少ないですが、トルティコスのガードの隙間をうまくついて多彩なパンチをヒットします。
単調なトルティコスの攻撃パターンを見切った中盤からは、完全にガシエフがペースを握ります。
左アッパーから右オーバーハンドの上下打ち分けが、ことごとくトルティコスの顎をとらえます。ガシエフのアッパーは秀逸ですね。左ボディブローもトルティコスのスタミナを確実に削っています。
回を重ねるごとに、トルティコスの手数が減ってきます。
用心深いが爆発力も抜群
ガシエフは後半から前に出て、逆にトルティコスにプレッシャーをかけます。
しかし、まだトルティコスのパンチ力を用心し、コンパクトなパンチで慎重に攻めます。
10ラウンドにガシエフが少し強めにパンチを放ってきましたが、トルティコスは下がりながらも、これを何とか捌きます。
やや疲れの見えたガシエフですが、11ラウンド終盤に放った右ストレートで、トルティコスが大きく体勢を崩し、ダウン寸前に追い込みます。
(右ストレートがトルティコスの顎をとらえる)
そして、12ラウンド中盤に、ガシエフの必殺の左フックがトルティコスの顎を打ち抜きました。完璧なパンチです。
(渾身の左フックが命中し、トルティコスは仰向けにダウン)
「これで決まった」と思いましたが、なんとトルティコスは立ってきました。
マウスピースを口に入れなおす余裕もあります。
ここから、ガシエフの怒涛の攻撃が始まります。
今までのコンパクトでスキルフルなガシエフとは大違い。獰猛でパワフルなボクシングで、トルティコスを追いかけます。
(2度目のダウンも左フック)
しかし、2度目のダウンでも、トルティコスは立ってきました。
まだ、勝負を諦めていません。さすが無敗のWBA王者です。
最後は、リング外にたたき出されて、ついにレフリーがストップ。残り18秒でした。
(最後はリング外にたたき出されました)
いや~素晴らしいボクサーですね。
ボクシングのスキルは抜群で、それでパンチ力は「破格」。ボクシングの組み立ても24歳とは思えないほどクレバーです。
大好きなアルツール・ベテルビエフより、ガシエフの方が将来性がありますよ。
楽しみな重量級が出てきました。