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アンソニー・ジョシュア(イギリス)VSカルロス・タカム(フランス)
WBA・IBF世界ヘビー級タイトルマッチ(2017年10月28日)
(出典:WOWOW)
ジョシュアは19戦全勝19KO、28歳。身長198㎝のパーフェクトレコードホルダーです。
タカムは39戦35勝27KO3敗1分け、36歳。IBF3位、WBA14位。
ウラジミール・クリチコとの大激戦を制して、ジョシュアの人気はうなぎのぼり。
今回も、無名の相手にも関わらず7万8000人の大観衆が詰めかけ、屋内会場入場者数の記録を塗り替えました。
ジョシュアにとっては、今日は軽いチューンナップ試合という感じでしょうし、しかもタカムは当初の挑戦者が負傷のため、急きょ決まったピンチヒッターです。
誰もが早い回でのKOを期待したでしょうね。
スタミナ配分を考え慎重なスタート
リング上で対峙した両者の大きさの違いは、まるで大人と子供のようでした。
慎重で12㎝、体重で8、5キロの差があります。
落ち着いて慎重なスタートを切ったジョシュアに対して、タカムは大きく距離を獲り、ジョシュアの強打を警戒します。
力強い左右フックがヒットし、タカムが体勢を崩す場面がありましたが、この日のジョシュアはいつより慎重で、強引に倒しに行きません。気のせいか体の切れもないような気がします。
スタミナ配分を考えているのでしょうか。
的が小さくなかなか捕まえられない
体格で圧倒的なアドバンテージがあるジョシュアですが、意外に動きの速いカラムをなかなかとらえることが出来ません。
カラムは上体の動きも柔らかく、ジョシュアのパンチをうまくかわし、ヒットしてもダメージを最小限に殺すテクニックは、さすが世界3位と思わせます。
それと、やはりジョシュアの動きにキレがないですね。
ダウンを奪うが倒し切れず
4ラウンドに少しプレッシャーを強めたジョシュアが、ようやく左フックでダウンを奪います。
このダウンの前にジョシュアのパンチで右目の上をカットし、その出血がかなり影響していたように思います。
(やっと左フックでダウンを奪うが)
この回は残り時間がほとんどなく、タカムはゴングに救われます。
どうも、ダウンのダメージより、右目の上の出血が大きなハンデになったようです。
当然、ジョシュアは5ラウンドに倒しに行きますが、タカムも負けていません。
うまくジョシュアのパンチをかわし、反撃に転じます。
ジョシュアがスタミナ切れ
5ラウンドにかなり力を使ったジョシュアは口が開いて、明らかにスタミナが切れてきた感じです。パンチにスピードがなくなり、ややパンチが流れるようになっています。
動きの悪くなったジョシュアに、タカムが前に出て攻撃する場面も見られ、パーフェクトレコードが途切れる可能性も出てきました。
8~9ラウンドは、明らかに息の上がったジョシュアですが、左ジャブを突きながらスタミナの回復を図ります。タカムもペースを奪うほどの力はありません。
10ラウンドに勝負をかける
スタミナの温存を図っていたジョシュアが、10ラウンドに一気に勝負をかけます。
そして、右フックがタカムの顎をとらえ、タカムが大きく体勢を崩します。
ジョシュアが連打を畳みかけタカムをロープに詰め右フックを叩き込んだところで、レフリーが割って入りました。
(右フックがクリーンヒットし、連打でロープに詰めて右フックを叩き込む)
(さらに追い打ちをかけたところでレフリーが割って入りました)
これで20戦全勝20KOのパーフェクトレコードをキープしました。
この日のジョシュアは、スピードがなく、的が小さくて動きの速いタカムに、かなりてこずりましたね。
結構、危ないタイミングで左フックを合わされていました。
それと、クリチコ戦同様、倒し切れなかったあとのスタミナ消耗にかなり課題が残りました。
今日のジョシュアは、私が見た試合の中で、一番出来が悪かったと思います。
デオンテイ・ワイルダーの方が強いような気がしてきました。
しかし、最後に勝負をかけた気持ちの強さはさすがですね。