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デビッド・べナビデス(アメリカ)VSロナルド・ガブリル(ルーマニア)
WBC世界S・ミドル級王座決定戦(2017年9月8日)
(出典:WOWOW)
バドゥ・ジャックが返上したWBCタイトルの王座決定戦ですが、紆余曲折があって4位のべナビデスと6位のガブリルの二人が浮上しました。
その経緯はここでは省略させていただきます。
べナビデスは18戦全勝17KO、20歳。高いKO率が示す通り、ハードヒッターです。しかも、王座を獲得すれば、このクラスでは史上最年少王者の誕生となります。
ガブリルは19戦18勝14KO1敗、31歳。キャリアはべナビデスとあまり変わりませんが、アマチュアで180戦のキャリアがあります。
序盤はべナビデスがプレッシャーをかける
2人がリング上で対峙すると、明らかにべナビデスの方が大きく見えますが、公式発表では、ガブリルの方が1㎝高いそうです。まあ、いつもジョー小泉さんが言ってますが、こういうデータはかなりいい加減な場合が多いので、恐らくべナビデスの方が実際には高いでしょうね。
そのべナビデスが左ジャブを突いて、ガブリルにプレッシャーをかけます。
ガブリルはがっちりした構えで、ガードが堅そうです。
回を追うごとにべナビデスが、パンチを強めに打って出るようになりました。
ガブリルを見て、ユーリ・アルバチャコフを思い出しました。ルーマニアですが、旧ソ連圏のボクサーという感じがします。
ガブリルの堅い守りに攻めあぐねる
いかにも頑丈そうなガブリルに、べナビデスがあらゆる角度からパンチを放ちますが、なかなかクリーンヒット奪えません。
中盤は、むしろガブリルが前に出て、手数を増やします。べナビデスの左ジャブが影を潜めます。
ガブリルはホントにマイペースで、堅実なボクシングをします。この相手を倒すのは容易ではないでしょう。
9ラウンドあたりからべナビデスが盛り返す
このままずるずるとガブリルのペースに巻き込まれそうな展開でしたが、9ラウンドからべナビデスがテンポアップしてきました。
かなり強引にパンチを振ってきます。派手なパンチを打つべナビデスと地味でコツコツとパンチをヒットするガブリル。対照的なボクシングですが、見た目の印象はべナビデスに軍配が上がりそうですね。
終盤は、スタミナが切れながらも最後の力を振り絞って、べナビデスが倒しに来ました。この闘争心は素晴らしいですね。疲れからか、かなり雑な攻撃で隙をついてガブリルの反撃にあう場面もありますが、べナビデスの重いパンチで次第にガブリルにダメージが蓄積してきます。
最終回は完全にべナビデスがKOを狙って、強引に攻めてきます。素晴らしいプロ根性ですね。スター性抜群です。
しかし、それが裏目に出て、不用意にパンチを打ちに行ったところへ、ガブリルの左ジャブがカウンターでヒット。足が揃ったところへタイミングよく決まったので、こけるようにべナビデスがダウンしました。
(終盤足の運びが悪くなったべナビデスが、タイミングの良い左ジャブでダウン)
このあたりが若さなのでしょうが、ガブリルにも追撃する力は残ってなかったのが救いでした。
しかし、頑丈で堅い守りのガブリルをここまで追いつめたべナビデスのパワーは大したものです。
このダウンは判定にはそれほど影響ないでしょう。
ところが公式ジャッジは2-1(116-111、111-116、117-111)
とスプリットデシジョン。ちなみに私は115-112。
たしかに、べナビデスのパンチはガードの上からが多く、ボディブローをあまり評価しないアメリカでは、ガブリルのコンパクトなパンチを評価するジャッジもいるでしょうが、ガブリルのパンチもほとんどがガードの上だったように見えました。
ジョー小泉さんは、べナビデスの当て勘の悪さを指摘していましたが、相手がガブリルでは仕方がないでしょう。
私は、このままのボクシングでいいと思います。これから楽しみです。
そして、ガブリルも強いですよ。アンダーカードに登場したホープのケイレブ・プラントでは、絶対に勝てません。