目次
マイキー・ガルシア(メキシコ)VSエリオ・ロハス(ドミニカ共和国)
Sライト級10回戦(2016年7月30日)
(出典:WOWOW)
ガルシアは元二階級制覇王者で、これがなんと2年半ぶりの試合となります。
34戦全勝28KO、28歳。非常に完成度の高いボクサーです。
一方のロハスもこれが2年ぶりの試合です。
26戦24勝14KO2敗、33歳。
2009年7月に粟生隆寛からWBC世界フェザー級タイトルを奪っています。
癖のある老獪なボクサーです。はっきり言って嫌いです。
仕上がりの良さが勝敗の分かれ目
Sフェザー級で戦っていたガルシア、フェザー級で戦っていたロハスが、2年のブランクを経てSライト級で戦うわけですから、本来の実力よりもむしろ仕上がりの良さが重要なファクターになると思います。
よく浜田剛史さんが「ブランクの間、どのように過ごしたかが問題」と言っていました。
リング上で対峙した二人を見ると、ガルシアの太さ、大きさが目につきました。腹の周りもすこしゆったりしてるような感じがします。
3階級も上げたロハスの方が、なんだか仕上がりがいいように見えました。
初回からプレッシャーをかけて前に出たのは、ガルシアです。
ほとんどパンチを出さず、ゆったりとした構えで様子を見ているようでした。
2ラウンドに入るとロハスがジャブを多用し、手数を増やしてきました。ガルシアはワンツーで対抗しますが、まだエンジンはかかりません。
ガルシアの強打は健在
3ラウンドに入り、ガルシアがプレッシャー強めました。
しかし、ロハスはディフェンスの勘がよく、クリーンヒットを許しません。
ところがガルシアがロハスをロープに詰め、パンチが交錯した瞬間、あっさりロハスがダウンしました。
一瞬、何が当たったのかわかりませんでした。スリップかな?と思いましたが、スローで見ると、左ジャブから右の打ち下ろしがヒットしていました。
(ロハスは微妙な上体の動きで、芯を外していました)
(ダウンすることでダメージを回避)
ロハスにダメージは感じられませんでした。
しかし、ガルシアは一気にフィニッシュを狙います。
そして、右ストレートをヒットし、またもやダウンを奪いました。これで終わったと思いましたね。
(このパンチもスエーで威力を殺しています)
(そして、逃げるようにダウンして追撃を回避)
ところが、見た目は会心のヒットに見えましたが、意外にロハスにダメージは感じられません。
ロハスはかなりの曲者ですね。パンチを殺すのが上手い!
4ランウドには逆に、ロハスの右をガルシアが不用意にもらう場面もありました。
しかしパワーの違いは歴然
ダウンはするものの、ダメージの回復がはやいのか、ロハスの動きは変わりません。
しかし、ガルシアはお構いなしにプレッシャーをかけて、ロハスを追いかけまわします。
ラウンドの中盤に、これも会心のワンツーに見えたブローで、3度目のダウンを喫したロハスですが、すくっと立ってきて、足の動きもしっかりしていました。
(これで決まった!と思いましたが)
(ここからスクッと立ってきました。タフですね)
そして最後は右アッパー。ダウンしたロハスはさすがに諦めた感じもしましたが、マットをたたいて悔しがるしぐさもあり、「まだやるの?」と思わせる場面も。
ロハスはまた、立ってきましたが、結局首を横に振りギブアップ。
(このアッパーで4度目のダウン)
(さすがに諦めたか。立ってきましたが、ギブアップ)
ダウンを奪ってからの追撃が少し雑な感じもしましたが、曲者ロハスをTKOに下して、まずまずの復帰戦でした。
さすがに、もう少し絞ってライト級で世界を狙うようですが、相手が問題です。
ガルシアはWBOのテリー・フラガナン(イギリス)を希望していたようですが、WBCのデヤン・ズラティカニン(モンテネグロ)と合意したという話もあります。
いきなりズラティカニンは危険な気がしますね。
いずれにしても、今度は世界ランカーと対戦して、ライト級のランキングを獲得すること順当なステップではないでしょうか。まだ28歳ですから、慌てることはないと思いますよ。
とにかく、楽しみな選手が戻ってきましたね!