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ディオンテイ・ワイルダー(アメリカ)VSクリス・アレオーラ(アメリカ)
WBC世界ヘビー級タイトルマッチ(2016年7月16日)
(出典:WOWOW)
5月にロシアで予定されていたアレクサンドル・ポペトキンとの試合が、ポペトキンの薬物陽性反応で中止になり、アレオーラに代役が回ってきました。
それにしても、ロシアはオリンピックといい、国全体が薬物に毒されていますね。
ワイルダーはこれがもう4度目の防衛戦になるんですね。
36戦全勝35KO、30歳。
アレオーラは世界戦3度目の挑戦です。おそらくこれが最後のチャンスになるでしょう。
43戦36勝31KO4敗1分け2NC、35歳。
右構え同士の対戦です。
アレオーラには申し訳ないですが、この試合の焦点は、ワイルダーが何ラウンドにKOするかに絞られます。二人の勢いが違いすぎます。
序盤は慎重なワイルダー
チャンピオンになってから、ワイルダーは慎重なボクシングを展開するようになりました。
この日も、速い左ジャブで1ラウンドは様子を見ました。
アレオーラはもっと慎重で、1発もパンチを放ちませんでした。
2ラウンドは、アレオーラがようやく前に出てパンチを放ちましたが、ワイルダーの長くて強い左ジャブに阻まれて、全くパンチがヒットしません。
この回、終盤にワイルダーの強烈なワンツーが決まり、アレオーラの顔面をカットしました。もう力の差が歴然としていました。
気になったのは、ワイルダーが左を構えたときに、右上腕分を押さえているようなしぐさが見られ、3ラウンドにはそのしぐさが多くなりました。
「こんな癖あったかな?左のグローブの握りを確認しているのかな」ぐらいに思っていましたが、すでにこの時点で、右腕の上腕二頭筋を断裂していたんですね。
3ラウンドはアレオーラがワイルダーをロープに詰めて、攻勢をかけるシーンがありましたが、終盤にワイルダーの左ジャブから右ストレートがヒットし、アレオーラの動きが止まりました。
(左ジャブでガードをはじき右ストレート叩き込みました)
KOは時間の問題
4ラウンド。
局面を打開しようと、アレオーラが残された力を振り絞って前に出て、攻勢をかけます。
しかし、長くは続きません。
余裕でかわしたワイルダーの強烈な右がヒットし、アレオーラの膝が揺れます。
(この右を打った時に骨折したのかな)
そして、左から右の返しでダウンを奪いました。
立ってきたアレオーラにワイルダーが襲い掛かります。
追撃のワンツーでアレオーラの体が大きく泳ぎましたが、何とかこの回を凌ぎ切りました。
(もうこのダウンでKOは時間の問題と思われましたが)
なんだかおかしいワイルダー
5ラウンドは誰もが、ワイルダーが仕留めに行くと思ったことでしょう。
ところが、明らかにダメージの残る動きの悪いアレオーラに対して、左ジャブしか打ちません。
6ラウンドは左ジャブの手数も減り、「疲れた?いや、これは絶対にトラブルやね。」
5ラウンドから右のパンチをほとんど打たなくなりました。打っても軽いパンチです。
「右手を痛めた」と思いました。
しかし、アレオーラもダメージを回復することが出来ず、ワイルダーの左ジャブで顔面を腫らし、左目はふさがりかけていました。
8ラウンドもワイルダーの左ジャブが狙い打ち状態になりました。
そして、アレオーラが8回終了、ギブアップ。
ふと、右手を痛めて左手一本で三浦隆司をギブアップさせた、内山高志を思い出しました。
ワイルダーは右手の骨折に加え、右上腕二頭筋断裂。これは重症ですね。
タイトルを奪取した時も、右手を痛めていました。
パンチのある選手の宿命ですが、これからのビッグマッチを控え、大きな不安材料となりましたね。