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リアム・スミス(イギリス)VSジミー・キルレイン・ケリー(イギリス)
WBO世界Sウエルター級タイトルマッチ(2015年12月19日)
(出典:WOWOW)
スミスは10月にジョン・トンプソンと王座決定戦でタイトルを獲得したばかりですが、わすか2か月のインターバルで早くも初防衛戦を行いました。
スミスは相変わらずののぞき見スタイル
決定戦同様スミスはガードを固めたのぞき見スタイルで、左ジャブとボディブローを単発で放ちますが、相変わらず手数は少ない地味なボクシングでスタートしました。
しかし、前の試合と決定的に違うのは、二人の力の差でしょう。
スピードもパワーもパンチ力もすべてスミスが上回っています。ケリーが優っているのは身長ぐらいなもの。
2ラウンドにはもうスミスのプレッシャーを、ケリーはさばききれなくなっていました。
ケリーも手数で応戦するが
ケリーが途中まで頑張っていたのは手数ですが、これがいかにも軽い。ケリーの非力なパンチ力を見切ったスミスは、4ラウンドには完全にペースを握り、パワーでケリーを圧倒します。
そして回を追うごとにスミスの圧力は強まり、ケリーがロープに詰まるシーンが多くなっていきます。
6ラウンドには、なすすべのなくなったケリーはついに頭を使いました。と言っても知恵ではありません。頭突きです。
ケリーのこの反則は故意と取られて2点の減点。どのみちポイントでは挽回不可能ですから、特に気にした様子もありません。
えっ!スリップ?
レフリーが不思議な対応をしたのは7ラウンドです。
もうスミスの一方的展開になってきたこの回に、スミスの連打でケリーがロープにもたれ、そのあと滑り落ちるようにしりもちをつきました。
誰もがダウンと思いましたが、レフリーの裁定はスリップ。
そしてタイムをかけました。
ケリーの様子を確認した後、試合を再開させましたが、ケリーのダメージは深刻で、スミスの追撃にレフリーがあっさりストップしました。(セコンドからのタオルも投入されたようですが。)
あのスリップダウンでストップしてもよかったと思います。
不思議だったのはレフリーの対応ではなく、ジョー小泉さんも西岡利晃さんもレフリー裁定がよくわかっていなかったことです。
スロー再生を見ればレフリーがはっきりと「ノックダウンではなくスリップ」と裁定し、スリップの影響を確認するためにタイムをかけたことは明らかなんですけどね。
それにしてもスミスは相変わらず安全運転ですね。
ガードを固め、相手が弱って来たらようやく手数を出す。
フィジカルで負けない挑戦者なら、ジャブでコントロールして簡単に判定をものにできそうな気がします。