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181.WOWOWエキサイトマッチ観戦記・51
ライトヘビー級10回戦
(出典:WOWOW)
ジャン・パスカル(カナダ) VSユニエスキ・ゴンザレス(キューバ)
ゴンザレスは、エキサイトマッチ初登場、WBC世界ライトヘビー級13位のホープ、戦績も16戦無敗12KOとパーフェクトです。
そして出ました浜田剛史さんの名台詞「お手並み拝見といきますか!」。
さて前評判の高いゴンザレスがベテランのパスカルとどう戦うでしょうか。
■なんとも強引なゴンザレス
パワフルとはこのことを言うのかとばかりに攻め立てるゴンザレスは、もうすべてのパンチがフルスイングで、序盤はパスカルがタジタジ、もう下がって避けるしかすることがないという状態でした。
パスカルはセルゲイ・コバレフに8回TKO負け、しかも全くいいところなく完敗でしたが、それでも世界の4団体のランキングすべてに顔を出しています。
「今のライトヘビー級では一番速いですよ」と浜田さん。
要するにコバレフが強すぎるんですよ。
さて試合に戻ります。
このまま逃げ回るのかと思いきや、パスカルも勇敢に、しかも同じように大振りのパンチで迎撃します。
高柳アナが「ゴンザレスは撃ち合うとフォームが崩れてバラバラになりますね」と言うと浜田さんが「要するに当たればいいんですよ。フォームで採点するわけではないですから」とばっさり。この日最高のコメントでした。
この人たちの「このやり取り」が退屈な試合でも、結構面白く観戦できる大きな要因の一つであることは間違いないです。
試合に戻りましょう。
パスカルもつられて大振りになっています。もう乱打戦です。どっちかのパンチがクリーンヒットすればすぐに終わりそうな勢いです。
■当たらなくなってきた~
飯田覚士さんが「パスカルのバックステップが速くて、ゴンザレスの足がついていけてないですね」というように、だんだんゴンザレスのパンチが空を切りだしました。
ゴンザレスは左ジャブはまあまあですが、右フックは大ぶりで的確性に欠けます。
そして回を追うごとにそれが雑になってきて、精度が悪くなってきました。
4ラウンドぐらいからパスカルは相手の距離を見きったようで、ボクシングに余裕が出てきました。ゴンザレスはスタミナを消耗するばかりで、大振りに右フックはパスカルの巧みなでフェンスでパンチを殺され、威力が落ちる一方です。
「ゴンザレスのKO勝ちはないな」と思いましたね。
■形勢逆転
6ラウンド終盤にパスカルのパンチがクリーンヒットし、「これは効いた!」この試合で初めてはっきりダメージのわかるパンチでしたね。
ゴンザレスはパワフルで手数も多いのですが、KO率ほどパンチ力はないようです。当て勘が悪いのか打ち方が雑なのか、とにかく精度が悪く、パワフルなパンチの割に効果がありません。
7ラウンド以降はガクッと勢いをなくし、ゴンザレスは完全に失速気味。
こうなると相手のパンチを完全に見きったパスカルが少ないながらも的確なパンチを決め、ポイントをどんどん挽回していきます。
かなり効果的なパンチを決めていますが、パスカルも余裕はなさそうです。もう少し強引に追撃すればダウンも取れそうな場面があってもなかなか手が出ません。
■ベテランに軍配
結局試合は判定に。そして3人のジャッジがいずれも2ポイント差でパスカルを指示しました。
ホープのゴンザレスは手痛い敗戦となりました。
あっさりKO勝ちも期待しただけに、このお手並みはいただけません。
年齢的にも30歳、あまりにも修正すべき点が多いだけに、エキサイトマッチで見るのはこれが最初で最後になるかもしれませんね。