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■ウォータース体重オーバー
WOWOWエキサイトマッチ観戦記・36
WBA世界フェザー級タイトルマッチ
ニコラス・ウォータース(ジャマイカ)VSミゲール・マリアガ(コロンビア)
世界タイトルマッチなのに体重が落とせず、タイトル剥奪。こういったケースが最近、本当に多いですね。
粟生隆寛と対戦したレイムンド・ベルトランに至っては、もう2階級ぐらいは違うのではと思うほどでした。しかもドーピング検査にも引っかかっています。最悪です。
ウォータースはあと1ポンド(450g)オーバー。これ以上無理をして落とすと、翌日の試合に影響があるので、あきらめたのでしょう。タイトルがなくなっても、また取り戻せばいい、とにかく勝つことが大事、ということなんでしょう。最近の傾向です。
■やっぱりでかいウォータース
マリアガとリング上で対峙した時に、明らかにウォータースの体格が上でした。(当日体重は相当の差があったと思います)
ウォータースは、パワーで押し切ろうとしたのか、とにかく1ラウンドから力強いジャブを放ち、いつもと違い力が入りすぎ。体に力みがあるので、スピードがなく、右はかなりの大振りで、さすがにこれはヒットしません。
4ラウンドはマリアガの変則的な右ストレートで腰を落とすシーンがあり、やはり体に力みがあると、パンチを殺せずダメージをまともに受けてしまいますね。
■徐々にパワーの差が
ドネアやビッグ・ダルチニアンを倒したアッパーは、やはりマリアガにも見えないようです。
5ラウンドの、このアッパーが効いたのか、マリアガはなかなか接近できなくなりました。
リーチ差が15センチもあるので、ウォータースの距離で戦うと、マリアガのパンチが届きません。
こうなると「まるでウェルター級の選手と対戦しているみたいだった」というマリアガは、ウォータースに完全にパワー負けしてしまいます。
7回はボディ、8回は強烈な右フックでマリアガのスタミナをそぎ落としていきます。
■ウォータースがKOを狙うが
9ラウンドに入るとウォータースは完全にKOを狙って、攻勢に出ます。
しかし、逆にマリアガの右をもらってダメージをこうむる結果に。ここで守勢に回らないのがウォータースの強さですね。スリップ気味でしたが、ダウンを奪い、危ないラウンドを10-8で切り抜けました。(ダウンがなければ完全にマリアガのラウンド。マリアガにとっては不運なダウンでした)。
KO率9割のマリアガのパンチはやはり危険なようで、ウォータースは10ラウンドから完全にペースダウン、KOはあきらめたようです。
最終回もいいパンチをもらいましたが、ボディ攻撃で応戦し、両手を上げてゴング迎えました。
ウォータースはボディブローにかなり神経質になっていたようですが、ジョー小泉さんいわく「いい選手はボディ打たせないです」のとおり、マリアガの唯一の突破口のボディをほとんど打たせませんでした。
■Sフェザーに上げてきたら内山も三浦も危ない
ウォータースは、今回の体重オーバーを機に階級を上げてくることも考えられますね。
この日は万全の調子ではなかったようですが、パンチ力はあるし、スピードはもちろんのこと、なによりリーチが185センチもあり、構えたら顔面からボディまで完全に隠れてしまい、強打のマリアガも打つところを探すのに苦労していたぐらいです。
ただ、決して打たれ強くないのと、結構至近距離で思い切って打ってくるので、倒すチャンスも十分あります。
内山高志、三浦隆司、両チャンピオンがアメリカでやるなら、ウォータースがいいでしょうね。危険ですがスーパースター候補です。勝てば一気に自分がスーパースター候補に浮上しますよ。
ウォータースはこれで、26戦26勝21KO。一方のマリアガは初黒星で、21戦20勝18KO1敗となりました。
マリアガも捲土重来で、また再浮上してくる可能性は十分あります。