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オスカル・バルデス(メキシコ)VSカーマイン・トマソーネ(イタリア)
WBO世界フェザー級タイトルマッチ(2019年2月2日)
バルデスは、24戦全勝19KO、28歳。
スコット・クィッグ戦で顎を骨折し、この日が11か月ぶりの試合となります。
トマソーネは、19戦全勝5KO、34歳。WBO14位。
バルデスの復帰戦の相手としては、危険のない軽い相手を選んだ感じですね。アマチュア実績が豊富で、しかも全勝ですが、パワー不足は否めません。
互角に戦ったのは序盤だけ
フットワークを使って距離をとるトマソーネに、チャンピオンは様子を見ながら、プレッシャーをかけます。11か月ぶりのバルデスはかなり力みがあり、トマソーネのディフェンスに左右フックが空転します。
しかし、少しずつ距離が合ってきて、2ラウンドには右フックがトマソーネのボディをとらえ、3ラウンドはさらにプレッシャーを強め、早くもトマソーネは押され気味になります。
ダウンを奪ってからは一方的
4ラウンドはさらにギアを上げ、トマソーネを追いかけまわします。そして、トマソーネが右を放ち体が流れたところへ、タイミングよくバルデスの右ストレートがヒットし、トマソーネが尻もちをつき仰向けにダウン。
ダメージはさほどなさそうで、力んで倒しに行ったバルデスの攻撃を、トマソーネは速いフットワークでさばき、追撃を許しません。しかし、ラウンド終盤にバルデスの左フックがトマソーネのボディをかすったように見えた瞬間、少し間を置いて、トマソーネが膝をつき2度目のダウンを喫します。
4ラウンドはゴングに救われたトマソーネですが、5ラウンドに入るとバルデスはさらに強引に打って出ます。やや力みがあり、パワーが空転している感じですが、トマソーネは防戦一方に追い込まれます。
最後は会心の右アッパー
この日のバルデスは、ダウンを奪ってからの詰めが雑で、ボディブローから上へのパンチがなかなか的確にヒットしません。それでも、6ラウンドは左ジャブで、トマソーネが右足を後ろに滑らすようにダウンします。これもややスリップ気味で、それほどダメージはなさそうです。むしろ、序盤からのボディ攻撃の方が効いていますね。
最後は唐突でした。7ラウンド開始早々、バルデスのパンチをよけるために頭を下げたトマソーネの顎を、バルデスのアッパーが打ち抜き、トマソーネが崩れるようにダウン。レフリーはすぐに試合をストップしました。
ダウンを奪ってからもたつきましたが、復帰初戦としては、上々の出来でしょう。他団体との統一戦を望んでいるようですが、どの団体のチャンピオンもレオ・サンタ・クルスを筆頭に、魅力に欠ける地味な選手ばかりですね。バルデスとの対戦は難色を示すと思いますよ。
WBC ゲーリー・ラッセル(アメリカ)
WBA(S) レオ・サンタ・クルス(メキシコ)
WBA(R) チャン・シュー(中国)
IBF ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)
全員に共通しているのは、「パンチ力がない」ということです。「わしボク」的には、これは世界チャンピオンとして、致命的な欠点だと思います。