目次
ジャーマル・チャーロ(アメリカ)VSマット・コロボフ(ロシア)
WBC暫定世界ミドル級タイトルマッチ(2018年12月22日)
ジャーマルは、27戦全勝21KO、28歳。
快進撃を続けるスーパースター候補です。暫定タイトルの初防衛戦です。
コロボフは、29戦28勝14KO1敗、35歳のサウスポー。WBC・IBFスーパーミドル級13位。
2014年にアンディ・リーに、WBOミドル級タイトル王座決定戦で6R逆転TKO負けを喫しています。その後の4年間で、わずか4戦しかしていませんので、ランキングが低いのは仕方がありませんが、そのテクニックは一級品です。
この試合、本来ならウイリー・モンロー・ジュニアと対戦する予定でしたが、薬物陽性反応がでたため、急きょアンダーカードに出場予定だったコロボフにチャンスが回ってきた次第です。目の前で、弟が負けたジャーマル。心穏やかではないでしょうね。
ジャーマルはサウスポーが苦手?
コロボフはS・ミドル級の選手ですが、身長はジャーマルの方が高いですね。しかし、背の低いコロボフの方が距離をとり、前に出て距離を詰めるはジャーマルです。
前に出て、プレッシャーをかけるジャーマルですが、コロボフのディフェンスと抜群の距離感に阻まれ、ほとんどパンチがクリーンヒットしません。そして、コロボフのいきなり放つ左ストレートが再三ジャーマルの顎をとらえます。ジャーマルはこの左に手を焼き、思うように攻め込むことが出来ません。距離は完全にコロボフが支配しています。ジャーマルのパンチはステップバックでかわされ、左右のフックはコロボフのボディワークで空を切らされます。
後半プレッシャーを強めるジャーマル
後半になると、ようやくジャーマルもコロボフの左に反応できるようになってきます。ただ、一方のコロボフも常に待ちの姿勢で、手数も少なく、積極性では、ジャーマルに軍配が上がります。
回を追うごとにジャーマルのプレッシャーは強くなりますが、コロボフのカウンターを警戒し、なかなか手が出ません。いつものジャーマルとは別人のように慎重で、攻撃が中途半端です。
終盤は、コロボフも積極的にポイントを取りに来ます。抜群の距離感で、やや強めの右フック、左ボディブローがジャーマルにヒット。そして、また左ストレートがジャーマルの顔面をとらえます。ややジャーマルは翻弄されている感じです。
最終回にやっとジャーマルらしさ
12ラウンドもコロボフが積極的に前に出てきました。ここでやっとジャーマルの左フックがついにコロボフをとらえ、コロボフが足をばたつかせます。これはかなりダメージがあったようです。しかし、ここからジャーマルはなかなか決定的なパンチをヒットできません。右ストレートもややあたりが浅く、ダウンを奪うまでには至りません。ジャーマルは最後まで、サウスポーの距離感をつかめないまま終わったような気がします。
しかし、判定は3-0(119-108、116-112、116-112)でジャーマルが初防衛に成功。119-108はないでしょう。ちなみに「わしボク」は114-114です。この日のチャーロ兄弟は、そろって評価を少し落としましたね。技巧派に弱い?