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木村翔(青木)VS田中恒成(畑中)
WBO世界フライ級タイトルマッチ(2018年9月24日)
(出典:TBSチャンネル)
約1か月前に、フライ級の日本頂上決戦が行われました。
YouTubeで見たときは、田中の圧勝という感じがしましたが、テレビで見るとなかなかの激戦でしたね。
終盤は田中にも余裕がなかった感じです。とりあえずこの激戦は、遅ればせながら、ブログに残しておこうと思った次第です。
木村は、20戦17勝10KO1敗2分け、29歳。
デビュー戦は1ラウンドKO負けという、まさにたたき上げの雑草チャンピオンです。
何度も言うようですが、中国でゾウシミンを倒して世界タイトルを獲得した時は、日本のボクシングファンを「アッ」と言わせましたね。
田中は、11戦全勝7KO、23歳。
木村とは対照的なアマチュアエリートです。すでに全勝で二階級を制覇し、ここで勝てば、あのロマチェンコと並ぶ三階級制覇の最短記録となります。
序盤を制したのは挑戦者
下の階級から上がってきた田中ですが、体幹的には遜色ないように見えますね。
前に出てプレッシャーをかける王者に対して、一歩も引かずに応戦します。
そして、出入りのスピード、パンチのスピードと、スピードで上回る田中が、コンパクトなパンチをヒットさせ、序盤のペースを握ります。
木村もパンチは空を切る場面が多く、まだ距離感がつかめていません。
2ラウンドの左フックで、木村が大きく体勢を崩し、早くもピンチに陥ります。明らかに効いています。
(木村でなかったらダウンしていたでしょうね)
3ラウンドも、まだ、ダメージの残る木村に、田中のコンパクトなパンチがことごとくヒットし、4ラウンドも、右ストレートはほぼ狙い撃ち状態です。
後手後手に回る木村も反撃しますが、完全に田中にパンチを見切られています。
中盤は激しい打撃戦
このまま終わらないのが雑草王者です。
ボディブローを中心に、中盤から反撃に転じます。
序盤にスタミナをかなり使った田中のパンチが、やや雑になってきました。
ダメージから回復した木村は、ようやく田中のパンチに反応できるようになってきた感じです。
田中のスピードも序盤に比べると落ちてきたように見えます。木村のボディ攻撃でガードも下がり、被弾するシーンが増えてきました。
しかし、田中も木村のプレッシャーに負けずに、応戦します。クリーンヒットは減ったものの、手数では負けていません。木村が打てば、必ずコンビネーションでパンチを返します。
パワフルでやや大振りの木村のパンチに対して、田中はコンパクトに上下に打ち分け、ほぼ互角の打ち合いが続きます。
もみ合いで消耗した挑戦者
パワーとスタミナで上回る王者と、互角に押し合った田中の消耗はかなりのものだったでしょうね。
終盤は、さすがの木村もかなりスタミナが切れて、気力でパンチを放っていた感じでした。
クリーンヒットの数では圧倒的に田中だと思いますが、木村は見栄えのいいパンチでジャッジのポイントを引き寄せます。
後半、消耗戦になってからは、田中に少しずつ余裕がなくなってきていましたが、試合全体を通じてペースを支配していたのは、田中だと思います。
私の採点は、116-112で、田中ですが、公式ジャッジが意外に接近していたので、驚きました。
引き分けはないと思いますよ。
2-0(116-112、114-114、115-113)で田中がタイトルを獲得しましたが、3人のジャッジ全員が一致したラウンド数はわずか「5」。
ボクシングのスキルでは、田中の圧勝ですが、木村には見えない「力」がありますね。ラウンドが進むに連れて相手が消耗していくのが分かります。ほとんどの対戦者がこの「力」に心を折られています。
そういう意味では、田中の気力は大したものだと思います。