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久我勇作(ワタナベ)VS和氣慎吾(FLARE山上)
日本S・バンタム級タイトルマッチ(2018年7月27日)
(出典:TBSチャンネル)
久我は、19戦16勝11KO2敗1分け、27歳。4団体すべての世界ランクに名を連ねています。
2017年2月、1度負けている石本康隆にTKO勝ちして、日本タイトルを獲得し、これが3度目の防衛戦となります。
和氣は、31戦24勝16KO5敗2分け、31歳。IBF7位。WBAはバンタム級10位。
2016年7月、ジョナタン・グスマンとのIBF世界S・バンタム級王座決定戦でTKO負け。しかし、その後4連勝して世界ランカーに返り咲き、日の出の勢いで世界を狙う久我に、挑戦状をたたきつけた次第です。
世界を狙う者同士の日本タイトルマッチとあって、後楽園ホールはかつてないほどの超満員となりました。
安易な世界タイトルマッチより、集客力ははるかに上ですね。
2ラウンドのダウンで久我がペースを見失う
前に出てプレッシャーをかける久我に対して、和氣は下がりながら左のカウンターを狙います。
そして、2ラウンドに久我がやや強引にパンチを繰り出し、身体が流れたところへ和氣の左ストレートがカウンターでヒットし、早くも久我がダウンを喫します。
立ってきた久我は、ややダメージを引きずりながらも、前に出て和氣の追撃に応戦し、何とはこの回を凌ぎます。
しかし、ダウンを挽回しようと、久我はやや強引にプレッシャーをかけ、パンチを放ちますが、ほとんどのパンチを和氣に読まれ、逆に左ストレートのカウンターをあびてしまいます。
久我は、焦ってやや大振りなってきたパンチが空を切り、何度も和氣の左ストレートをもらいます。どうやら久我はこの左が見えていないような感じですね。
和氣の右ジャブが邪魔
和氣は、右ジャブを効果的にヒットし、久我との距離をうまくキープします。久我はこの右ジャブが邪魔で、中に入れず、強引にパンチを打ちこんだところへ、左ストレートのカウンターをあびます。
4ラウンドは、完全に和氣がペースを握り、ワンツーストレートを決め、久我が大きくぐらつきます。
(和氣の会心のワンツー。久我は大きく体勢を崩します)
和氣が一気に追撃し、久我はダウン寸前まで追い込まれますが、しぶとく粘り、この回を乗り切ります。
決めに行った5ラウンド、和氣にアクシデント
前に出る久我と、応戦しようと前に出た和氣の頭が激突し、和氣が左の眉をカットします。傷はかなり深く、出血が目に入る和氣にとっては、大きなハンデとなりましたね。
ドクターチャック後もややふらつき気味の和氣。一気に攻め立てる久我ですが、和氣は冷静にここを回避します。
(眉間をカット。傷は深く血が目に入ります)
息を吹き返した感じの久我は、6ラウンド、さらにプレッシャーを強め、和氣を追いかけます。
和氣は冷静に下がりながらフットワークで、久我の攻撃を捌き、左ストレートのカウンターをヒットさせます。
テクニックでは、和氣が一枚上手ですね。
それでも、パワーでは久我。7ラウンドは強引に前に出て、手数を増やし、和氣を追いかけます。さすがに和氣も血が目に入るハンデもあり、いままで外していたパンチをもらうようになります。
最後はやっぱり左ストレート
和氣は打ち合いを避け、久我の猛追を右ジャブと左カウンターで冷静に対処し、9ラウンド終了間際には、連打でまたも久我がピンチに陥ります。
そして、最終ラウンド開始早々、和氣の左ストレートが久我の顎をとらえ、久我の腰が落ちます。
(和氣の左ストレートで久我の腰が落ちる)
さらに和氣が連打で畳みかけたところで、久我のコーナーから赤いタオルが投入されました。
10ラウンド36秒、和氣がTKOでタイトルを獲得しました。
両者、ナイスファイトでしたね~。お互いの持ち味を存分に発揮し、素晴らしい試合となりました。
久我にとっては、2ラウンドのやや不用意なダウンが、最後まで尾を引きましたね。
この日の和氣は、パワーのある久我に押されながらも、冷静にパンチを外し、右ジャブで自分の距離をキープしながら、左ストレートのカウンターを何度もヒットさせていました。
完全復活と言っていいでしょう。
今の和氣なら、TJ・ドヘニーでもダニエル・ローマンでも、どちらでも勝てると思います。