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ゾラニ・テテ(南アフリカ)VSオマール・ナルバエス(アルゼンチン)
WBO世界バンタム級タイトルマッチ(2018年4月21日)
(出典:WOWOW)
ゾラニ・テテは29戦26勝21KO3敗、30歳のサウスポー。
昨年の初防衛戦で、わずか11秒の世界最速KO記録を樹立しています。
ナルバエスは、52戦48勝25KO2敗1分け、42歳のサウスポー。
井上尚弥に何もできずに倒されたナルバエスですが、今回はバンタム級に階級を上げて、3階級制覇を狙います。
しかし、多くのファンの興味は、全盛期を過ぎたナルバエスを、テテが何ラウンドで倒すか、というところでしょうね。
淡々と過ぎていく12ラウンド
身長で10㎝上回るテテが、長い右ジャブを突いて、ナルバエスを中に入らせません。
ナルバエスも、両腕はガードに専念させ、ほとんどパンチを打つことはありません。
中盤になってようやく、テテが堅いガードのナルバエスを攻略するため、ボディブローを狙いだします。
しかし、後半はまた右ジャブで距離を取り、マイペースのボクシングに戻ります。
見どころを強いて挙げるなら8ラウンド
判で押したようなラウンドが続くなか、ちょっと盛り上がった感じがあったのは8ラウンドだけです。
この回はテテも少し強めにパンチを打ちだしました。一方のナルバエスもセコンドからはっぱをかけられたのか、強引に前に出てパンチを繰り出します。
しかし、テテのアッパーがヒットすると、ナルバエスの動きが止まりました。やや、ダメージがあったようです。
テテの攻撃もここまでで、また、右ジャブで距離を取り、時折右ストレートを放つだけの堅実なボクシングに戻ります。
手を痛めたわけでもなさそう
テテが右ばかり打ち、左はガードの上からしか打たないので、解説の飯田覚士さんが「テテは左手を痛めたかもしれませんね」と。
でもどうやらそうでもなさそうで、ただ単に、これがテテの本来のボクシングなんでしょう。
常に自分の距離で戦い、ナルバエスが出てくれば、素早くバックステップし、ナルバエスになにもさせません。
テテは、危ないシーンが全くなく、ただ勝つための完璧なボクシングを見せ付けました。
12ラウンド、ナルバエスに何もさせず、右ジャブで完璧にコントロールして見せましたね。
まるで、格の違うボクサーのスパーリングを見ているような試合でした。
採点はもちろん3-0(三者とも120-108)。
これは誰が採点しても120-108でしょうね。
さて注目のWBSS(ワールドボクシングスーパーシリーズ)
この試合で、テテが評価を落としたという話も聞きますが、私はむしろ要注意だと思います。
このボクシングをされると、井上のパワーをもってしても、かなり厄介な気がします。
ジェイミー・マグドネルよりも、中に入るのはるかに難しそうです。しかもサウスポーなので、余計に距離が長く感じられるでしょう。しかも、パンチ力があります。不用意に中に入ると、左ストレートのカウンターが待っています。
まあ、それでも優勝候補の本命は、井上だと思います。
やはり不気味なのはエマニエル・ロドリゲス(プエルトリコ)ですね。