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ホセ・ラミレス(アメリカ)VSアミール・イマム(アメリカ)
WBC世界S・ライト級王座決定戦(2018年3月17日)
(出典:WOWOW)
元統一王者、テレンス・クロフォードが返上した4つの空席。
IBFは、マイキー・ガルシアが名乗りを上げました。
WBCも、ジュリアス・インドンゴを倒した、レジス・プログレイスが暫定王座についています。
本来なら、プログレイスがそのまま、正規王者に昇格するはずなんですが、正規王者はラミレスVSイマムで決定戦を行い、暫定王者と統一戦を行うことになったようです。
ラミレスは、21戦全勝16KO、25歳。WBC3位。
昨年11月にマイク・リードとの全勝対決を、力でねじ伏せた人気者です。
イマムは、22戦21勝18KO1敗、27歳。WBC1位。
元スーパースター候補です。
全勝街道をまっしぐらに走っていた2015年11月に、アドリアン・グラナドスにまさかのTKO負けを喫し、急ブレーキがかかりました。
WBC1位まで上り詰め、世界戦目前だっただけに、世界中のボクシングファンを驚かせたのではないでしょうか。
その後、無難な相手に3連勝し、WBC1位に返り咲いていますが、大きく株を下げたのは間違いまりません。
パワーVSスピード
この試合は、この言葉がすべてのような気がします。
持ち前のパワーで、ガンガン前に出てプレッシャーをかけるラミレスの攻撃を、イマムは巧みなディフェンスで見事にさばきます。
ラミレスの得意な左フックは、完全に封じられていました。
序盤はイマムのスピードが、パワーのラミレスを制していたように見えます。
ただ、両手でしっかりガードするラミレスに対して、イマムは左のガードが低く、上体の動きでラミレスのパンチをかわします。
ラミレスはそこを突いてきます。6ラウンドに、いきなり放った右フックがイマムの顎をとらえました。やや足がばたついたイマムは、明らかに効いたようです。
(ラミレスのいきなりの右ロングフック)
後半はラミレスがパワーで押し切る
この一発で流れが変わりましたね。
KO率では優っているイマムのパンチは、スピードはありますが、どうも軽い感じがします。結構いいパンチがラミレスにヒットしていますが、ラミレスは全く意に介せず、ガンガン前に出てきます。
やや線の細い感じのイマムは、少しずつ押され気味になっていきます。
お互い至近距離でパンチを交錯させ、スリル満点の打ち合いが展開されます。
後半は、ラミレスの左ボディブローで、イマムの右ガードも下がってきました。
10ラウンド、そこへラミレスの左フックが見事にイマムの顎をとらえ、イマムがガクンと膝を落とします。
さらにラミレスの左ストレートがヒットし、イマムはロープへ飛ばされます。
(右ガードの下がったイマムにラミレスの左ストレートがヒット)
終盤は倒しに来たラミレスの猛攻に、イマムは防戦一方。
何とか倒されずに試合終了のゴングが鳴らされます。
両者の勢いの差が、そのまま出た感じの一戦でした。
3-0(115-113,117-111、120-108)の判定で、ラミレスがWBCのタイトルを獲得しました。
しかし、120-108はないでしょう。
ちなみに私の採点は、116-112。
ラミレスは、暫定王者のプロイグレスと統一戦を行うことになるでしょう。
この暫定王者も強そうですね。
21戦全勝18KO、29歳のサウスポーです。
負けたイマムも、相変わらず小気味よいボクシングをします。
世界戦線からは完全に離脱した感じですが、まだまだ魅力的なボクサーだと思います。