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ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)VSイスラエル・ゴンザレス(メキシコ)
IBF世界S・フライ級タイトルマッチ(2018年2月3日)
(出典:WOWOW)
アンカハスは30戦28勝19KO1敗1分け、26歳。
井上との対戦相手の最有力候補にも挙がっていましたが、最後の最後で逃げられましたね。
昨年11月にイギリスで3度目の防衛戦を行ったばかりで、わずか3か月足らずのインタバルで4度目の防衛戦を行います。そして、これがアメリカデビュー戦となります。
パッキャオの秘蔵子であり、その後継者候補として期待されているアンカハスとしては、強烈なKO防衛でアメリカのファンにアピールしたいところです。
ゴンザレスはランキングは11位ですが、22戦21勝8KO1敗。
まだ21歳のメキシコのホープです。
いきなりアンカハスがダウンを奪う
解説の飯田覚士さんが「今、ゴンザレスもなかなかいい選手ですよ」と言おうと思ったところで、アンカハスの左フックがヒットし、早くもゴンザレスがダウンを喫しました。
(左右のパンチを放ったゴンザレスの足が揃ったところへ、タイミングよくアンカハスの左がヒット)
足が揃ってタイミングよくもらったパンチでしたので、立ってきたゴンザレスにダメージはなさそうです。しかし、精神的なダメージは大きかったでしょうね。
2ラウンドからはゴンザレスも持ち直し、積極的にパンチを打って前に出ます。
しかし、アンカハスはうまいですね。
接近すると厄介だと判断したアンカハスが、自分の距離をキープし、右ジャブ、左ストレートを的確にヒットします。
しかも、連打はせず、パンチを放つとすぐにガードポジションに戻り、堅いガードでゴンザレスにパンチをヒットさせません。しかも、接近してもディフェンスが巧みで、なかなかゴンザレスにクリーンヒットを許しません。
パッキャオというより井岡一翔
パッキャオの後継者候補と言われていますが、パッキャオほどフットワークは使いませんし、踏み込みの速さより、自分の射程距離をキープし、ゴンザレスのパンチを最小のバックステップで空転させます。
そして、長い右ジャブと、ワンツー、そしてノーモーションの左ストレートを的確にヒットさせ、少しずつ相手を弱らせていきます。
ボクシングスタイルは違いますが、この戦略的なボクシングは井岡一翔を彷彿させます。実に堅実なボクシングです。
ゴンザレスも飯田さんが褒めるように、なかなかきびきびしたシャープなボクシングをしますが、パンチの当て勘、威力でアンカハスが一枚上手という感じです。
8ラウンドから倒しにかかるアンカハス
前のラウンドの終盤にアンカハスの右フックがヒットし、手応えを感じたのでしょう。
8ラウンドからアンカハスがやや強めに出てきました。
9ラウンドはもう完全に、アンカハスの攻勢にゴンザレスが押され気味。
そして、10ラウンド。
まず、アンカハスの右フックがゴンザレスの顎をとらえ、ゴンザレスがロープに詰まります。この右フックはかなりダメージがあったと思います。
そして、強引に反撃に出たゴンザレスの左右のパンチをかわし、アンカハスの左ストレートがカウンター気味にヒットし、ついにゴンザレスがダウンしました。
(会心の左フックでした。このパンチでゴンザレスの心を折ったようです)
(最後は強引な左フックでなぎ倒した感じです)
このダウンでレフリーはすぐに試合をストップしました。
10RTKO勝ちで、4度目の防衛に成功するとともに、アメリカデビューもまずは大成功と言えるでしょう。
この日のアンカハスはほぼ完ぺきなボクシングをしましたね。
WBC王者のシーサケット・ソールンビサイ(タイ)と比べると、アンカハスは堅実で隙の無いボクサーですね。パンチ力は互角かな。体幹というかフィジカルなパワーはシーサケットの方が上でしょう。
アンカハスはどちらかというと、フランシスコ・エストラーダのボクシングと似ている気がします。ただ、アンカハスは単発型で、私はコンビネーションのうまいエストラーダの方が好きですね。