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ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)VSレイムンド・タブコン(フィリピン)
Sフライ級10回戦(2016年10月8日)
(出典:WOWOW)
エストラーダは35戦33勝24KO2敗、26歳。
オーソドックススタイルで、この試合がSフライ級転向初戦になります。肩幅が広くて、がっちりした体格をしています。身長163㎝ですがフィジカル面ではSフライ級でも全く問題ない感じです。
タブコンは前フィリピンSフライ級チャンピオンです。
21戦18勝8KO6敗1分け、オーソドックススタイルです。
エストラーダの試運転にちょうどいい相手かもしれませんね。
最小限の動きでパンチをかわす
エストラーダのボクシングは無駄がありませんね。
タブコンのパンチを最小限の動きでかわし、ガードの隙間を狙って的確にパンチをヒットします。
パンチの殺し方もうまく、タブコンのパンチがまともにヒットすることはほとんどありません。
右は温存
痛めていた右の拳は完治しているものの、ボディブロー以外では思い切り振りぬくことはありません。
顔面へのパンチはほとんどが左で、右は50~60%の力でしか打ちません。
それでも3回以降はエストラーダの独壇場で、4回はタブコンがまるでサンドバック状態でした。
エストラーダはもうやりたい放題。一方のタブコンはなすすべなし。
まるであえてKOしないように手加減して打っている感じ
エストラーダのパンチは面白いようにヒットします。そしてタブコンのパンチは完全に見切られて、全くエストラーダをとらえることが出来ません。
もう少しパンチを集めればストップされる場面が何度もありましたが、まるで10ラウンド戦うことが目的のように、とどめを刺しません。
エストラーダのボクシングテクニックを堪能した試合でした。
判定は3-0(ジャッジ3人とも100-90)。ロイ・ジョーンズは全盛期は相手に1ポイントも与えませんでしたが、まさにロイ・ジョーンズを彷彿させるスコアでした。
さてエストラーダの戦力は
解説の西岡利晃さんは、「タブコンのパンチがヒットしたのは3発ぐらいじゃないでしょうか」と試合後語っていましたが、それほどエストラーダのディフェンスは完璧でした。
パンチのスピードはそれほどでもないですが、当て勘はいいですね。ボディブローはさすがメキシカンという感じがします。完成度が高いボクサーで、体幹も強く、常にプレッシャーをかけていました。
西岡さんが試合中に、「クアドラスやロマゴン相手に今日のような完璧なボクシングはさせてもらえない」と再三言ってましたが、私は出来そうな気がします。
エストラーダのテクニックはSフライ級では群を抜いていますね。これで右を思い切り打つことが出来れば、かなり怖い存在ですよ。
ルイス・コンセプション(パナマ)やカルロス・クアドラス(メキシコ)には負けないでしょうね。
ロマゴンも、ライトフライ級で戦った時よりはるかに苦戦しそうです。私は、フィジカル面で勝るエストラーダに軍配が上がりそうな気がします。
でも、井上尚弥には勝てないでしょう。スピードとパワーが違います。
エマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)VSマーティン・カシジャス(メキシコ)
Sバンタム級10回戦
(出典:WOWOW)
ナバレッテは22戦21勝19KO1敗、21歳。170㎝の長身です。
ジョー小泉さんによると「好戦的で力でねじ伏せる」ボクサーとのこと。
カシジャスは27戦18勝11KO8敗1分け、28歳。
背が低く、すこしぽっちゃりした感じで、28歳とはいえ、すでに峠を過ぎた感じがしました。
試合前から、どっちが勝つのか、はっきりわかる両者の体格差でした。
このホープはボクシングが雑
前に出てプレッシャーをかけるのは背の低いカシジャスで、ナバレッテは下がりながら左右フックで応戦します。
カシジャスのガードが堅いこともあるのですが、ナバレッテのパンチは打ち方が雑で、手数の割にクリーンヒットは少なく、ナックルもしっかり当てっていません。
中盤、少しカシジャスのプレッシャーに手を焼き、押され気味になるシーンも見られましたが、ペースを譲ることはありませんでした。
中盤以降、左にスイッチしたり、落ち着きのないボクシングで、時折左手を振ったりして、ナバレッテは明らかに様子がおかしくなってきます。
どうやら、左手を痛めたようですね。
3-0でナバレッテが判定勝ちしましたが、21勝19KOのパンチ力はないですね。
あんな雑なパンチでは倒せないでしょう。
果たして世界ランクに顔を出せる日が来るでしょうか。疑問ですね。