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ジャレット・ハード(アメリカ)VSオースティン・トラウト(アメリカ)
IBF世界S・ウェルター級タイトルマッチ(2017年10月14日)
(出典:WOWOW)
ハードは20戦全勝14KO、27歳。トニー・ハリソンから逆転TKOで獲得したタイトルの初防衛戦です。
圧倒的なパワーの持ち主ですが、テクニックやスピードは今一つという気がします。
トラウトは33戦30勝17KO3敗、32歳のサウスポー。
元WBA世界S・ウェルター級チャンピオンで、現在はIBF11位。
3敗していますが、すべて判定負けでKO負けは一度もありません。
しかも、相手はサウル・アルバレス、エリスランディ・ララ、ジャーマル・チャーロといった錚々たるメンバーです。
チャーロ兄弟の兄、ジャーマルの強打を空転させたテクニックはまさに一級品です。
ランキングは11位ですが、ハードにとっては難敵ですよ。
序盤はトラウトのテクニックに空転
リング上で対峙した両者を比較すると、ハードが一回り大きく見えます。
そのパワーを生かして、ハードがプレッシャーをかけ、前に出ます。
ハードの左ジャブが予想以上に長く、トラウトが目測を誤り被弾する場面がありましたが、序盤は、動きでもパンチのスピードでも優るトラウトが、コンパクトなパンチをヒットし、大振りのハードのパンチは空転させられます。
クリーンヒットの数では、圧倒的にトラウトが上です。
強引なハードのパワーに徐々に疲弊するトラウト
中盤になっても、クリーンヒットではトラウトが上回っていましたが、ハードの強引な攻撃に、トラウトが右ストレートを被弾する場面が増えてきます。
しかし、パンチの威力ではハードです。トラウトのパンチを被弾しながらも、ノーガードで前に出て、強引にパンチを放ちます。
6ラウンドあたりから、ハードのパンチでトラウトに少しずつダメージが蓄積してきます。それでも、トラウトはコンパクトなパンチで応戦。特に左アッパーはかなり効果的に見えました。
さすがのハードも後半、少しずつスタミナを消耗してきますが、それ以上にトラウトのダメージが大きく、パンチを受けるたびに、大きく体勢を崩します。
トラウトのパンチを被弾しながらも、ハードは強引に右ストレートを放ち、トラウト追いつめます。
もういつギブアップしても不思議はないほど、苦しそうなトラウト。
そして、10ラウンド。終盤にハードが連打でトラウトを滅多打ち。トラウトはもうフラフラです。
(ハードがトラウトを滅多打ち。トラウトはもうフラフラです)
この回はゴングに救われましたが、「そろそろ限界かな」と。
予想通り、トラウトのコーナーがギブアップを申し入れました。
10R終了TKOで、ハードが初防衛に成功しました。
恐らくパンチのヒット数では圧倒的にトラウトの方が多かったともいます。
しかし、解説の浜田剛史さんが「これほど打たれたトラウトを見るのは初めて」と言うように、ハードのパワーパンチをかなり打ち込まれていました。
チャーロ兄を空転させたテクニックも、ハードの圧倒的なパワーに屈しました。
しかし、ハードはガードが甘く、パンチをもらいすぎますね。
ホントに強いのかどうかわかりにくい、不思議なボクサーです。
パンチ力のある選手と対戦したら、あっさり倒されそうな気もします。