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レイムンド・ベルトラン(メキシコ)VSブライアン・バスケス(コスタリカ)
NABF・NABO北米ライト級タイトルマッチ(2017年8月5日)
(出典:WOWOW)
ベルトランは42戦33勝21KO7敗1分け1NC、36歳。
WBC2位、WBA6位、IBF2位、WBO2位と、すべての団体でランキング上位にいます。
バスケスは38戦36勝19KO2敗、29歳。元WBA暫定世界S・フェザー級王者で、現在WBA1位にランクしています。
この二人はいずれも日本人ボクサーと対戦した実績があります。
ベルトランは2015年5月に粟生隆寛と対戦し、2RTKO勝ちしています。ただ、この試合、本来WBOライト級タイトルマッチとして行われましたが、ベルトランが体重超過、しかも後日ドーピング違反が発覚し、無効試合になっています。
バスケスは2012年に内山高志と王座決定戦(正規王者と暫定王者)を行い、8RTKO負けしています。しかし、内山の連打をあびても最後まで倒れませんでした。
一回り大きいベルトラン
やはりナチュラルなライト級のベルトランが、明らかにバスケスより大きく見えます。
そして、パワフルなベルトランが前に出て、大きなパンチを放ちます。しかし、一方のバスケスも決して打ち負けしていません。
ロープ際でベルトランのパンチを巧みに殺して、コンパクトなパンチをヒットしてきます。パンチの回転が速いですね。
テクニックではバスケスが一枚上手のような感じです。
一進一退の攻防
パワフルなベルトランのパンチが見た目には効果的に見えますが、バスケスも微妙にパンチを殺して、クリーンヒットを許していません。
このあたりのスキルはかなり高いと思います。
下がりながらコンパクトなパンチを放ち、見た目には地味ですがクリーンヒットでは上回っている感じです。
後半はベルトランがペースを握る
前半はほぼ互角の展開でしたが、後半、少しスピードが落ちてパンチの精度が悪くなったバスケスに対し、軽めのパンチを的確にヒットさせて、ベルトランがペースを握ります。
(後半はベルトランのクリーンヒットを許すようになるバスケス)
初回からお互い手を休めることなく打ち合ってきましたから、さすがに9ラウンドあたりから両者に疲れが見えてきました。
ベルトランは9ラウンドに右目の上をカットし、最終10ラウンドには強烈なバッティングで頭をカット。このバッティングは結構ベルトランにダメージを与えたように思います。ここから完全にベルトランが失速し、ゴング間際にはバスケスの連打をあびてしまいます。
地域タイトルはまだまだ12ラウンドが主流ですが、私は10ラウンドでもなんの問題もないような気がします。東洋太平洋タイトルも10ラウンドに変更すれば、もっと密度の濃いボクシングが期待できるかもしれません。
ノンタイトル戦は8ラウンドで充分です。
私にはややベルトランが有利に見えましたが、判定は2-0(95-95、96-94,96-94)のマジョリティデシジョンで、ベルトランが防衛に成功しました。
ベテラン同士の生き残りをかけた一戦でしたが、完全決着とはいいがたいですね。
しかし、とにかく勝利を得たベルトランが、すべての団体でタイトルを狙える位置にいることは間違いありません。
ただ、決め手に欠くベルトランが、世界タイトルを奪うのは無理でしょうね。