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ジャーマル・チャーロ(アメリカ)VSセバスチャン・ヘイランド(アルゼンチン)
WBC世界ミドル級挑戦者決定戦(2017年7月29日)
(出典:WOWOW)
チャーロ兄は25戦全勝19KO、27歳。IBF世界S・ウェルター級タイトルを返上し、これがミドル級でのデビュー戦となります。
ヘイランドは35戦29勝16KO4敗2分け、30歳のサウスポーです。WBC1位にランクされています。現在8連勝(7KO)中と好調をキープしています。
今回は1位のヘイランドと2位のチャーロとのミドル級挑戦者決定戦です。
ステップがおかしいヘイランド
ゴングが鳴って、ヘイランドが前に出て、チャーロは左ジャブを突きながら、これを捌きます。
ただ、ヘイランドのステップが独特で、かなり変わったフットワークなのがとても気になりました。
プレッシャーをかけて前に出ますが、どうもパンチを打つときに体が流れる感じです。
浜田剛史さんは「ヘイランドはどうも足を痛めている感じですね」。
そういえば、ヘイランドのフットワークはぎこちなく、足がバタバタして、どうも左足を痛めているような気がします。
スリップダウンがダウンに変更
2ラウンドにヘイランドが左ストレートを放ち、これをチャーロにかわされ、そのままバランスを崩して、スリップダウンしたように見えました。
レフリーもはじめはスリップダウンの裁定でしたが、ヘイランドがなかなか立ってこないので、ダメージがあるとの判断で、ダウンに変更しました。
再生ビデオをよく見ると、体が流れたヘイランドの顎に、チャーロの右アッパーがヒットしていました。
(ヘイランドの左ストレートがかわされ、バランスを崩したところへ、チャーロの右アッパーがヒット)
(バランスを崩して倒れたように見えたヘイランドのダウン)
まあ、チャーロの右アッパーも効いたかもしれませんが、一番ダメージがあったのはどう見ても左足ですね。
もうこの時点で、ヘイランドの左足に異変があったことは、誰の目にも明らかです。
本人は「1ラウンドに足をひねった」と言っていますが、コーナーを出るときから変なステップでしたから、試合前から痛めていたと思います。
チャーロはちょっとやりにくそう
3ラウンドが始まる前に、ドクターチェックが入りましたが、続行を許可しました。
もう試合の趨勢は決しているのですから、ここで止めても良かったのでは。
3ラウンドはもちろん、完全なチャーロのペース。余裕をもって、試合を展開します。
左アッパーから右ストレートがヒットし、ヘイランドの足はバタバタです。
それでも、チャーロは一気に行きません。無理をせず、チャンスに畳みかけるつもりなのでしょう。まあ、ちょっと、やりにくそうにも見えました。
多分4ラウンドが始まる前にドクターがくぎを刺した
4ラウンドが始まる前に、またドクターチェックがありました。
何となく「このラウンドが最後」とくぎを刺されたような感じです。
ヘイランドは足を引きずりながら、強引に前に出ます。
チャーロはこれを軽くステップでかわし、様子を見ます。
もう無理をしなくても、どこかでストップされるのは分かっていたでしょう。
しかし、このままではミドル級デビュー戦としては、あまりにもアピール度が少ないと思ったのか、中盤からラッシュをかか仕留めに行きました。
そして、チャーロの左ストレートでヘイランドが大きくバランスを崩し、仰向けにひっくり返りました。
(チャーロの左ストレートでヘイランドは大きくバランスを崩します。)
(左足が変な形になっていますね。ダウンというより、ひっくり返った感じです)
それでもヘイランドは必至で立とうとします。しかし、再びバランスを崩したとことでようやくレフリーがストップしました。
(遅すぎたストップ)
まあ、チャーロがミドル級で問題なく戦えることは間違いないでしょうが、後味の悪い印象はぬぐえません。
私は、1ラウンドでストップでも良かったと思っています。はっきり言って、試合になっていませんでした。
さて、チャーロはこれでWBCの挑戦権を獲得したことになります。
ただ、ゲンナディ・ゴロフキンVSカネロ・アルバレスの結果次第では、少し今後の予定に変更が出そうです。
カネロはWBCと折り合いが悪いらしく、カネロが勝った場合は、WBCは空位になる可能性が出てきます。
そうなると、チャーロは今度は、王座決定戦をやることになるかもしれません。
私は、ゴロフキンVSチャーロがぜひ見たいと思っています。