目次
ゲイリー・ラッセル(アメリカ)VSオスカル・エスカンドン(コロンビア)
WBC世界フェザー級タイトルマッチ(2017年5月20日)
(出典:WOWOW)
お互いのケガでなかなか実現しなかった統一戦が、1年半ぶりにようやく行われることになりました。
ラッセルにとっては、2015年にジョニー・ゴンザレスを倒し獲得したタイトルの2度目の防衛戦となります。
28戦27勝16KO1敗、28歳のサウスポーです。
唯一の1敗は、ワシル・ロマチェンコに2-0の判定で敗れたものです。
暫定王者のエスカンドンは、27戦25勝17KO2敗、32歳。
ラッセルも164㎝とこのクラスとしては、小柄な方ですが、リング上で対峙すると、エスカンドンはさらに背が低いですね。おそらく160㎝はないでしょう。
序盤からラッセルのペース
背の低いエスカンドンは当然のごとく前に出て、接近戦を挑みます。
しかし、ラッセルの速い右ジャブがじゃまで、なかなか中に入れません。
ようやく中に入ったと思ったら、ラッセルのアッパーが待ち構えています。
ラッセルはこのアッパーを多用し、接近戦で打ち合います。
エスカンドンのパンチはほとんど外され、ラッセルの左右のアッパーが顎やボディにヒットします。
両者には力の差がかなりあるようです。
ラッセルの力まないパンチは効果的
3ラウンドの序盤に放った、左からの力まない右フックの返しが、エスカンドンにヒットし、ダウンを奪いました。
(意識せずに自然に出たパンチがエスカンドンの顎をとらえます)
(この返しの右フックはかなりダメージを与えました)
なんとか立ってきましたが、ダメージは深刻です。
まだ時間は十分あります。ところがここからのラッセルの攻撃が力みすぎ。
相当パンチをヒットし、エスカンドンの足元はふらついていましたが、追撃のパンチに意外とキレがなく、ラウンド終盤はラッセルの息が上がっていました。
エスカンドンも自コーナーに戻るのに、レフリーの助けを要するほどダメージを被っていました。
中盤はラッセルがスタミナ切れ
力みすぎてスタミナを消耗したラッセルは、4ラウンドはひたすら休息。逆にエスカンドンが前に出て、反撃してきました。
6ラウンドあたりから、ようやくラッセルの動きが少し戻ってきました。
エスカンドンも必死に前に出て反撃しますが、まだダメージが抜けきれず、パンチの正確性を欠きます。
最後はやっぱり自然な右フック
完全にスピードが戻った7ラウンドに、ラッセルが一気に勝負に出ました。
連打の流れの中で、自然に出た「力まない」右フックがエスカンドンの
テンプルをとらえると、エスカンドンはロ―プまで後退し、そのままロープにもたれてしりもちをつきました。
(コンパクトな右フックがエスカンドンのテンプルにヒット)
(倒れたエスカンドンを見て、レフリーがすぐにストップ)
もう余力がないと判断したレフリーが、すぐに試合をストップしました。
この日のラッセルは左右のアッパーがとても効果的でしたね。
これでエスカンドンは不用意に飛び込めなくなってしまいました。
ロマチェンコとの再戦を希望しているようですが、ラッセルの体格ではS・フェザー級はちょっと厳しいでしょう。
前回は2-0の僅差でしたが、今度は倒されるかもしれませんね。
私はどうもラッセルがそんなに強いとは思えないんですよ。
フェザー級であえて順位をつけるとしたら、
1位 オスカル・バルデス(メキシコ)
2位 レオ・サンタクルス(メキシコ)
3位 スコット・クイッグ(イギリス)
4位 ゲイリー・ラッセル(アメリカ)
5位 マーク・マグサヨ(フィリピン)
パンチ力だけなら、マグサヨが一番かもしれません。フェザー級の注目株です。バルデスはボクシングが少し雑ですね。
IBF王者のリー・セルビー(イギリス)はあまりにもパンチ力がなさすぎます。