目次
トニー・ハリソン(アメリカ)VSジャレット・ハード(アメリカ)
IBF世界Sウェルター級王座決定戦(2017年2月25日)
(出典:WOWOW)
本来、この試合はジャーマル・チャーロへの挑戦者決定戦でしたが、急きょチャーロがタイトルを返上し、ミドル級へ階級を上げたため、王座決定戦に格上げされました。
2位のハリソンは25戦24勝20KO1敗。
3位のハードは19戦全勝13KO。
2人とも26歳で、身長185㎝、リートも196㎝と全く同じです。
そして、浜田さんの「全勝のハード、お手並み拝見」の名セリフが出ました。
前半は完全にハリソンのペース
2ラウンドぐらいから、ハードが前に出てプレッシャーをかけるものの、ハリソンの左ジャブで攻撃を阻まれ、距離も完全にハリソンがつかんでいました。
パンチの当て勘もテクニックもハリソンが一枚上手。パワーはあるがハリソンのステップワークに翻弄され、ハードのパンチはほとんどヒットしません。
前半でハードのパンチがヒットしたのは、5ラウンドの右アッパーぐらいでしょう。
(このアッパーでハリソンが大きく体勢を崩しました)
これはかなり効果がありましたが、それ以外は、ハリソンのコンパクトなパンチがハードをとらえ、6ラウンドの左ボディでピンチにさらされます。
この時点ではこのままハリソンがペースを握り、どうやら判定で王座を獲得するかに思えました。
(左ボディが効いて、コーナーに詰められピンチに立たされるハード)
しかし、このあたりからハリソンが急激に失速。明らかに動きが悪くなり手数も減ってきました。
ハードが大逆襲
7ラウンドの序盤はハリソンが的確にパンチをヒットしていましたが、明らかにスタミナが切れた感じのハリソンもラウンドの後半は失速し、ハードの強打をまともにもらうようになり、かなり苦しくなってきます。
(後半に入り徐々にハードのパンチがヒットし出す)
8ラウンドもハリソンのステップが怪しくなり、ハードの連打にさらされる場面が増えてきました。
そして、9ラウンド。
さすがにハードも疲れが見え、一進一退の攻防となり、なかなか詰め切れません。
どうやら、このままハリソンが逃げ切るかと思われた瞬間、ハードの右ストレートが絶妙のタイミングでハリソンの顎をとらえ、ついにハリソンがダウンしました。
かなりダメージは深刻に見えましたが、ハリソンは何とか立ってきます。
しかし、マウスピースを吐き出し、それを見たレフリーが試合をストップしました。
(当て勘の悪いハードのこの日のベストショットでした)
(これは決まったな、と思いました)
前半を見る限り、ハードがハリソンをとらえるとは全く予想できませんでした。
それほど、ハリソンとハードには歴然としたテクニックの差がありました。
しかし、パンチ力があるというのはすごい武器ですね。まさかまさかの大逆転でした。
これは年間最高試合候補でしょう。
だだし、再戦すると凡戦になる危険性は十分ありますね。