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セルゲイ・コバレフ(ロシア)VSアイザック・チレンバ(マラウイ)
3団体統一世界Lヘビー級タイトルマッチ(2016年7月11日)IN ロシア
(出典:WOWOW)
コバレフは、リング誌のPFP(パウンド・フォー・パウンド)でロマゴンの次に位置する世界のトップスターです。
先日ローマン・ゴンザレスが減量苦から、思わぬ苦戦をした試合で評価を下げ、私の中ではコバレフが世界最強ボクサーと思っています。
自然体のボクシングは安定感抜群で、パンチ力もゴロフキンに匹敵するほど破壊力があります。
30戦29勝26KO1分け、33歳。身長183㎝のオーソドックススタイルです。
チレンバは29戦24勝10KO3敗2分け、WBC11位にランクされる29歳。こちらも右構えのオーソドックススタイルです。
マラウイの選手です。マラウイはアフリカ南東部の小さな国です。
名前も無名なら、失礼ながらマラウイという国も、今回初めて知った世界的に無名の小国です。
かけ率は36-1(だったと思います)で圧倒的にコバレフがリードしています。
入場シーンから緊張気味で、浜田さんの「チレンバは余裕がないと思いますよ」とコメントしましたが、完全にアウエーの雰囲気にのまれている感じでした。
序盤はコバレフが支配
初回からコバレフがプレッシャーをかけ、左ジャブで自分の距離をキープしながら、右クロスを狙います。
チレンバは、完全にコバレフの自然体のボクシングに圧倒されていました。
3ラウンドにはコバレフが、少し強めにプレッシャーをかけ始めました。もうこの時点で誰もが早い回でのKOを期待したでしょう。
コバレフもそのつもりだった思います。
意外とディフェンスが堅いチレンバ
3ラウンドにコバレフが強引に攻めましたが、チレンバはこれに左ジャブを合わせて、コバレフのクリーンヒットを許しません。
4ラウンドは、少し体がほぐれてきたチレンバの左ジャブがコバレフの攻撃を阻み、ペースを取り戻しつつあります。
恐らくチレンバを完全になめていたコバレフは、攻めが雑になり、チレンバの左ジャブを不用意に被弾するようになりました。
チレンバ、なかなかやりますよ。
コバレフが右ストレートでダウンを奪うが
左ジャブが速く体にばねがあるチレンバのペースは、7ラウンドに入っても変わりません。
コバレフは前に出てプレッシャーをかけるものの、クリーンヒットが少なく、右の強引な攻めが目立ち、なんだか左ジャブも減ってきました。
しかし、パンチ力があるというのはやはり大変な武器ですね。
この回、残り30秒辺りで、コバレフの左ジャブから右ストレートがジャストミートして、ようやくチレンバからダウンを奪いました。
倒れ方を見るとチレンバにかなりダメージが感じられましたが、ゴングに救われました。
(左ジャブから右ストレートをヒット。強烈なパンチでした)
8ラウンドにもコバレフの左がヒットし、チレンバが大きくぐらつきました。
(この左ストレートでまたもやチレンバがピンチに)
コバレフが失速
しかし、倒し切れなかったコバレフは、10ラウンドに入ると明らかに疲れが見えました。
フットワークのバランスが悪く、依然として前に出るものの、チレンバの左ジャブを出鼻に何度も被弾するようになりました。
それでもプレッシャーをかけ、倒しに行くところがコバレフのすごさですね。
しぶといチレンバもダメージが残っており、中盤の切れはありませんが、スタミナ切れのコバレフは最後までフィニッシュブローを決めることが出来ず、終了のゴングを聞きました。
3-0(117-110、116-111、118-109)で明確な判定勝ちをおさめたコバレフですが、明らかに調整不足で、チレンバに対して油断があったことは間違いありませんね。
7ラウンドのダウンがなければ、この試合、かなりきわどい判定になっていたでしょう。
次はアンドレ・ウォードだそうです。
私はズバリ、ウォードの判定勝ちを予想します。
ウォードの試合運びは心憎いばかりに手堅く、ディフェンス技術は世界トップクラスのセンスがあります。私はウォードの負ける姿が想像できません。
でも、私はコバレフのリスキーなボクシングスタイルが好きですね。
希望は、コバレフのKO勝ちですが、少なくともウォードを倒すのは無理でしょう。