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アンソニー・クロラ(イギリス)VSイスマエル・バロッソ(ベネズエラ)
WBA世界ライト級タイトルマッチ(2016年5月7日)
(出典:WOWOW)
イギリスのボクシング人気はホントにすごいですね。
あの大観衆の中では、アウェーの選手は本来の自分のボクシングを見失ってしまいそうです。
少し心配なのは、イギリスのEU離脱がボクシング人気に与える影響ですが、まあ、イギリスの国が抱える莫大な問題の中では、ほんの小さなことかもしれませんね。
チャンピオンのクロラはガードの堅い「根性の選手」ということです。37戦30勝12KO4敗は、世界チャンピオンとしては平凡な戦績ですね。
暫定チャンピオンのバロッソは、ケビン・ミッチェルに3度のダウンを奪った末、5回TKO勝ちしている無敗の強打者です。
21戦19勝18KO2分けのサウスポーです。
ちなみにミッチェルはホルヘ・リナレスとも対戦しており、リナレスがダウンを奪われ、逆転KOでWBCタイトルの初防衛に成功しています。
戦前の予想は当然バロッソ有利、しかも、クロラは選手生命を絶たれる危険性さえあると言われていたそうです。
バロッソは完全にオーバーペース
ガードを高く上げて、がっちり守るクロラに対し、バロッソはそのガードの上に、強打を打ち込みます。
気になったのは、バロッソの背中の発汗の量です。全く汗をかいていないクロラに対して、バロッソの背中は1ラウンドからすでにびっしょり濡れています。
クロラは4ラウンドまでは防御に専念し、ほとんどパンチを放ちません。
バロッソは、手数は多いもののほとんどガードの上をたたくだけで、クリーンヒットはほとんどありません。
そして、回を重ねるごとにパンチに威力がなくなり、スピードも動きも悪くなっていきます。明らかにオーバーペースです。
5回からクロラが反撃
恐らく4ラウンドまでの採点は、バロッソのフルマークでしょうね。
でもペースを握っていたのは、クロラでした。
5ラウンドに入るとクロラがペースを上げ、前に出てクリーンヒットを放ち、バロッソは完全に失速。ボディも効いてきているようです。
(ガードが下がったところへ右フックがクリーンヒット)
もう、バロッソのパンチに威力がないと判断したクロラは、6ラウンドには、打ち合いに応じます。ボディが効いてガードが下がったバロッソの顔面へ左右のパンチを見舞います。
クロラの逆襲にあったバロッソはもうほとんど、力が残っていないようでした。
7ラウンドに放ったクロラの止めのボディブローで、一瞬間をおいてダウン。
もう精根尽きた感じの倒れ方でしたね。テンカウントしても立ってきませんでした。
(ボディをこすったようなパンチでしたが、蓄積したダメージがあったのでしょうか)
バロッソの敗因はオーバーペースですが、恐らく調整失敗で仕方なく短期決戦を挑んだのでしょうが、結局自滅してしまったようです。
(ボディへのダメージもあったのでしょうが、スタミナ切れが最大の要因でしょう)
クロラは9月にWBC王者のホルヘ・リナレスと統一戦を行うようです。
クロラのガードは堅牢ですがパンチ力があるとは思えません。リナレスならボディから崩せるでしょうし、ミッチェルほど怖いパンチはないので、ペース配分さえ間違わなければ決して危険な相手ではありません。
判定もしくは終盤のKO勝ちで「リナレスが勝つ」と思います。