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リー・ハスキンス(イギリス)VSイバン・モラレス(メキシコ)
IBFバンタム級タイトルマッチ(2016年5月14日)
(出典:WOWOW)
リー・ハスキンスは、岩佐亮佑にTKO勝ちして獲得したIBF世界バンタム級の初防衛戦となります。
ランディ・カバジェロの計量オーバーで防衛戦が中止になり、この試合が1年ぶりとなってしまったわけです。
35戦32勝14KO3敗、32歳のサウスポーです。
岩佐をKOしているので、パンチ力があると勘違いされていますが、私はパンチ力のない偽物のナジーム・ハメドだと思っています。
イバン・モラレスは、あのエリック・モラレスの弟で、30戦29勝17KO1敗、24歳。IBF13位にランクしているサウスポーです。
踏み込みの速さでモラレスを翻弄
サウスポーできれいなボクシングをするモラレスに対して、ハメドの偽物、ハスキンスは変則ボクサーです。
しかし、出入りのスピードが速く、モラレスは序盤、全くハスキンスのスピードについていけませんでした。
ハスキンスはガードは低いのですが、ディフェンスの勘がいいので、それほどスピードのないモラレスのパンチはほとんど空を切ります。
中盤に、モラレスは作戦を変更し、長身を生かしたアウトボクシングに切り替えました。パンチのタイミングも少しずつ合うようになってきます。
後半疲れたハスキンスはクリンチ作戦
一方、ハスキンスは8ラウンドあたりから疲れが見え始め、序盤のようにスピードでモラレスを翻弄できず、パンチをかわしクリンチで逃れ、めっきり手数も減ってきました。
もみ合うシーンが多くなり、ハスキンスは専らモラレスの打ち終わりを狙う消極的なボクシングを展開し、序盤の切れのあるスピードは影を潜めます。
しかし、モラレスもパンチにスピードがないので、ハスキンスをとらえることが出来ず、ずるずるとラウンドを重ねるだけ。兄のエリックほどのパンチ力もありません。
結果は予想通り、判定でハスキンスが初防衛に成功しました。
公式ジャッジは3-0(119-108、118-110、118-110)と大差がつきましたが、私は4ポイント差ぐらいが妥当だと思います。
動きの多いハスキンスのボクシングは、どうしても後半に疲れが出てしまいます。
王座決定戦では、動きの硬い序盤の岩佐に、ラッキーなパンチが決まりましたが、モラレスに対してはダメージを与えるパンチを全くヒットできていません。
岩佐も序盤をもっとうまく戦えたら、終盤にKOチャンスが訪れたかもしれません。
次は指名挑戦者のスチュアート・ホール(イギリス)と2度目の防衛戦が決まっているようです。
ハスキンスは、ホールと2012年に対戦して、大差の判定で勝っています。
ホールはカバジェロに負けた試合を見る限りでは、パンチのキレはないけど体幹の強い、典型的なイギリス人ボクサーですね。
間違いなく判定決着で、しかも下手するととんでもない凡戦が予想されます。
この試合はWOWOWでの放送は不要ですね。