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加納陸VSメルリト・サビーリョ(フィリピン)
東洋太平洋ミニマム級暫定王座決定戦(2016年5月8日)
(出典:テレビ大阪)
加納陸は4戦4勝2KO、18歳です。現在WBO6位、IBF13位、WBCでも15位にランクしており、井岡弘樹さんのもつ最年少世界王者の記録更新を狙っています。
不思議なのはサビーリョです。現在WBO世界ミニマム級1位にランクしており、田中恒成が返上したWBOタイトルの王座決定戦の最有力候補と思われるのに、なぜ東洋太平洋の暫定王座決定戦なのでしょうか。
サビーリョは28戦25勝12KO2敗1分、32歳。元WBO世界にミニマム級王者です。この元世界王者に勝つようだと世界が見えてきますね。
そして、サウスポー同士の対戦です。キャリアの浅い加納にとっては不利な材料かもしれません。
序盤は加納のペース
動きの硬いサビーリョに対して、加納はスピーディなフットワークを使い、右ジャブ、左ストレートをコンパクトにヒットして、ペースを握ります。
2回には接近して、サビーリョの危険なパンチをかわし、左カウンターを決め、パンチが交錯するシーンでも勇敢に打ち合います。
加納は、スピードがあって、防御勘もよく、うまいボクシングをしますね。
しかし3回に入るとサビーリョが出てきました。強いプレッシャーをかけ、強引にパンチを振ってきます。
この打ち合いに応じた加納は、自分のパンチもヒットしますが、サビーリョの大きなパンチを被弾するようになり、かなりスリリングなシーンが展開されるようになってきます。
中盤はサビーリョが打ち勝つ
右ジャブが減ってきた加納は、サビーリョの前進をまともに受け、コンパクトなパンチをヒットし手数では上回るものの、パワーのあるサビーリョのパンチに押され気味。接近戦での打ち合いはパンチ力のあるサビーリョが優勢です。
6回からは、少しガス欠気味のサビーリョのプレッシャーが弱まってきましたが、ラスト30秒、とか、ラスト10秒に猛然とラッシュする作戦を使って、加納をたじろがせます。
8ラウンドは疲れが見え始めた加納にサビーリョの右ストレートが決まり、ボディブローも効いてきたのか、加納の腰が引けてきました。
終盤は加納がペースを取り戻す
このまま押し切られるかと思いましたが、加納は10回からまた足を使って、コンパクトにパンチをヒットし、残り1分ぐらいからこの試合初めて加納が前に出て、サビーリョをロープに詰めラッシュを見せました。
すっかりペースを取り戻した加納は、手数でもサビーリョを上回りポイントを奪います。
最後は足を使ってサビーリョをコントロールし、左ストレートをカウンターで決めるなど、サビーリョに付け入るスキを与えませんでした。
判定は2-1(113-115、115-111、117-111)のスプリットデシジョンでしたが、私の採点では3ポイント、加納が勝っていたように思います。でも彼のキャリアの中では一番苦戦しましたね。
やはり今回も右ジャブが少なかったようです。世界のトップクラスの選手に比べるとパンチ力も物足りませんね。ライトフライ級だとパワー負けしそうです。
ボクシングのうまさ、冷静な試合運びは評価できますし、将来的には世界を狙えるでしょうが、年内に世界戦を強行するのはどうかと思います。