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フェリックス・トリニダードの後継者
WBO中南米ライト級タイトルマッチ(2015年12月11日)
フェリックス・ベルデホ(プエルトリコ)VSジョセニルソン・ドス・サントス(ブラジル)
(出典:WOWOW)
見た目はトリニダードに似ていますが、そのボクシングスタイルは「むしろミゲール・コットのデビュー当時に似ています」と解説の浜田剛史さん。
確かに守りを固めた構えはコットに似ていますね。ワンツーは速いし、右ストレートは予想以上に伸びてきます。
攻めは慎重です。ガードを高く構えて、自分の射程距離になったら、速いワンツーを放ち、また、相手が打ってくるところに合わせる左フックは絶妙です。
勝敗はあっけなく決まりました。
2ラウンドに入り、ドスサントスが攻勢をかけ、慎重に対応していたベルデホでしたが、2分過ぎ、お互いに右ストレートが交錯し、「えっ?どっちのパンチが当たったの?」私は一瞬、どちらのパンチがヒットしたのかわかりませんでした。あるいはどちらも当たってないのかも。
そして、倒れたのはドスサントスでした。
本当に一瞬の出来事で、解説の飯田さんによると、ドスサントスの右ストレートカウンターに合わせて右ストレートのカウンターを決めるという、まるであしたのジョーと力石徹のような、あるいは剣豪の果し合いのような決まり方でした。
これが狙ったカウンターならすごいのですが、私にはちょっと無謀な打ち合いのように見えました。
(出典:WOWOW) パンチが速すぎて全く見えませんでした。フェリックス・トリニダードも大喜び。
同じライト級にWBC世界チャンピオンのホルヘ・リナレスがいます。
ベルデホは今のところWBCのランキング15位までには顔を出しいませんので、すぐに対戦する可能性は少なそうですが、リナレスにとってはとても危険な相手です。
しかし、ベルデホの試合間隔の長さは気になります。せめて3か月間隔ぐらいで、どんどん試合をしてほしいですね。
KO率4%の世界チャンピオン
IBF世界Sライト級タイトルマッチ(2015年11月4日)
セサール・クエンカ(アルゼンチン)VSエドゥアルド・トロヤノフスキー(ロシア)
(出典:WOWOW)
注目すべきはチャンピオンの戦績です。50戦48勝2KO2無効試合。
なんとKO率4%。木村悠が21戦18勝3KO2敗1分ですから、木村よりもさらにKO率の低い、世界一KO率の低い世界チャンピオンだったのです。
過去形です。惜しかったですね。小原佳太にも十分チャンスのある「おいしい」チャンピオンでしたが、トロヤノフスキー先を越されてしまいました。
クエンカの足は良く動きます。右へ回り左へ回り、相手に的を絞らせません。
しかもクエンカはサウスポーですが、トロヤノフスキーは苦もなく右をあわせ、クエンカは中へ入れません。
3ラウンドに入ると、もうトロヤノフスキー(この選手、名前を変えてほしいですね)はクエンカのパンチ力を見切ったように、強引にパンチを繰り出し、パワーの差は歴然としてきました。
5ラウンドに左アッパーが効果的にヒットし、クエンカにかなりダメージを与えます。
トロちゃんのこの左アッパーは実にうまい。同じ階級の岡田博喜も同じように見事な左アッパーを打ちますが、甲乙つけがたいですね。
そして6ラウンドに突然試合が終わります。
まず、かすったような得意の左アッパーのあと、クエンカがトロヤノフスキーを担ぎ上げるような格好になり、そのままクエンカがひっくり返ります。
すぐに立って、試合が再開されると思いましたが、なにやらクエンカが左目の不調をアピールし、試合再開に応じません。
そして、しかたなくレフリーはTKOを宣言しました。
(出典:WOWOW)
スロー再生でよく見ましたがトロちゃんのひざが当たった様子はありません。おそらく先ほどの、かすったような左アッパーが目に当たったのでしょう。
まあ、5ラウンドで試合の行方は決まったような感じでしたから、チャンピオンとしては起死回生の反則勝ちを狙ったのでしょうが、失敗に終わりました。
足の運びがなんとなくぎこちないトロヤノフスキーですが、サウスポーを苦にしないところ見ると、意外と器用なのかもしれません。
もう一試合見ないとこの選手の真価はわかりませんね。