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■WOWOWエキサイトマッチ観戦記・43
IBF世界ミドル級王座決定戦(2015年6月20日)
ハッサム・ヌダム・ヌジカム(カメルーン)VSデビッド・レミュー(カナダ)
ヌジカムはIBF1位で32戦31勝18KO1敗。この1敗はピーター・クィリンに6度倒され判定負けを喫したものです。クィリンはスーパースター候補でしたから仕方がないですね。最後まで立っていただけでも評価に値します。
一方のデビット・レミューはIBF4位、35戦33勝31KO2敗、26歳、地元カナダで絶大な人気を誇る超ハードヒッターです。
ゲストの村田諒太いわく「一発パンチならゴロフキンより上」
■クィリン戦と同じ
七転び八起き。まさにこの日のヌジカムにぴったりの言葉です。
レミューのプレッシャーは相当強いようですね。ヌジカムが止めようと必死に大ぶりのパンチを振り回しますが、レミューはなんのその、ガンガン前に出てきます。
レミューのプレッシャーが強すぎて、ヌジカムはいつものシャープなジャブを見失っています。
そして2ラウンド、まず1回目のダウン。
得意の左フックが見事に決まり、なんとか立ってきたヌジカムですが、もうたじたじで、「終わりかな~」と誰しも思ったでしょうが、なんとかこの回をしのぎました。
私はこのラウンド、1回のダウンですが10対7を付けました。
驚いたのはヌジカムの回復力です。
3回の動きはまるでダウンなんかなかったような動きで、4回はむしろヌジカムがポイントを取ったぐらいです。
ダウンは合計4回、5ラウンドに2回、7ラウンドにも1回。
倒れた時には「もう立ってこないだろう」と思うほど深刻なダメージを受けたように見えるのですが、さにあらず。
■ヌジカムの回復力は人間離れしている
5回に2度倒されているのに6回には逆にヌジカムがポイントを取っています。
7回はダウンがなければヌジカムのラウンドでした。
オーバーハンドの左をもらってしまったのですが、これは今までになかったパンチなので不意を突かれたのでしょう。このあたりに不死鳥ヌジカムといえども完全にはダメージが抜けていないということがうかがわれました。
それでも10回からは完全にヌジカムのペースでした。
この選手の回復力は驚異的ですね。序盤に、レミューのプレッシャーに圧倒され、自分のボクシングを見失ったのが敗因でしょう。
私の採点は7ポイント差でレミューでしたが、公式ジャッジも4~6ポイントでレミューを支持していました。
終盤失速したからでしょうね。4回もダウンを奪っているのにポイントはそれほど開いていません。
■レミューの次戦はなんとゴロフキン!(10月17日)
抜群のパワーと破壊力を持つレミューの次の対戦相手はどうやら無敵のハードヒッター、ゲンナディ・ゴロフキンに決まりそうです。
タイプはよく似ていますね。
相手の追い込み方のうまさは、レミューもゴロフキンに負けていません。パンチは互角とみます。レミューはスタミナも相当なものです。
1ラウンドからパワーパンチを振り回し、さすがに最後は失速気味でしたが、あれだけパンチを打てば仕方がないでしょう。
ゴロフキンも、後半以降でも十分KOできるスタミナを持っています。
前回、ウィリー・モンロー・ジュニア戦で危うい場面を披露したゴロフキンですが、ここはすっきり格の違いを見せて倒してくれるでしょう。
いずれにしてもレミューは魅力的なボクサーですね。カナダで人気がでるのも頷けます。
いきなりゴロフキンとやるのはなんだかもったいない気がします。
村田がWBC4位にランクしています。ちょっとこれは過大評価しすぎですね。
この日負けたヌジカムでも荷が重いでしょう。私はこのヌジカムと村田が対戦することを勧めますね。
このスキルの高い本物のミドル級の世界ランカーに勝てば間違いなく「本物」です。