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(出典:WOWOW)
ティム・チュー(オーストラリア)VSトニー・ハリソン(アメリカ)
WBO世界S・ウェルター級暫定王座決定戦(2023年3月12日)
両選手のプロフィール
ティム・チュー(オーストラリア)WBC・WBO世界S・ウェルター級1位
21戦全勝15KO、28歳 オーソドックス
身長 174センチ リーチ 183センチ
皆さんご存じだとは思いますが、父親は元世界S・ライト級王者のコンスタンチン・チューです。コンスタンチンも強かったですが、ティムは体も一回り大きく、パワフルです。
2020年8月にジェフ・ホーンに8RTKO勝ち、2021年には、デニス・ホーガンと対戦し5RTKO勝ちと、まさに破竹の勢いでKOを量産していましたが、最近の2戦(2021年11月の井上岳志戦、2022年3月のテレル・ガウシャ戦)は判定まで粘られています。しかし、オーストラリアでは絶大な人気をほこるサラブレッドであり、スーパースター候補です。
トニー・ハリソン(アメリカ)WBO3位
33戦29勝21KO3敗1分け、32歳 オーソドックス
身長 185センチ リーチ 194センチ
2017年にIBF世界・ウェルター級王者のジャレット・ハードに挑戦し、9RTKO負けでタイトル獲得に失敗しました。しかし、2018年12月に、ジャーメル・チャーロに挑戦し、判定でWBC世界S・ウェルター級タイトルを獲得。しかし、翌年のリマッチで11RKO負けし、王座から陥落しました。3敗はすべてKO負けですが、打たれもろいという印象はありません。パンチが的確で当て勘がいいですね。
試合経過
序盤からチューが距離を詰める
やはりかなり身長差がありますね。チューがじりじりと前に詰めます。ハリソンがジャブを放って距離を取ろうとしますが、チューは結構距離を詰めています。しかし、ハリソンの左ジャブも速くて長いですね。2ラウンド、チューはプレッシャーを強め前に出ますが、ハリソンも速い左ジャブで応戦します。お互いのパンチが交錯し、スリリングな展開になってきました。チューはハリソンの左の打ち終わりに速くてコンパクトな右パンチを合わせてきます。
3ラウンドさらに距離が詰まってきました。チューの動きは機敏ですね。開始2分、チューの右オーバーハンドがハリソンをとらえ、足をばたつかせてロープに下がります。チューがロープに詰めて襲い掛かりますが、ハリソンもさすがです。何とか1分間をしのぎました。
中盤、ハリソンが左ジャブを多用するが
ハリソンは長いジャブで距離を取ろうとしてます。しかし、距離が詰まると、チューがコンパクトなパンチを打ち込んできます。5ラウンドは、チューがハリソンをロープに詰め、上下にパンチを打ち込みます。ハリソンも左ジャブで応戦しますが、チューはボディブローを効果的にヒットさせます。
6ラウンドもパンチの的確性ではチューが上ですね。ハリソンも少し距離が開くと、左ジャブを多用して応戦しますが、チューは冷静に距離を詰めます。チャンスをうかがっている感じですね。
後半もチューのペースで展開
ハリソンはロープに詰まりながらも左右に動いて、左ジャブを盛んに放ちます。チューも前に出るものの、前半に比べると手数が減ってきました。ハリソンの左ジャブはまだシャープです。
8ラウンド開始早々、チューのワンツーがヒットします。ハリソンも必死に左ジャブで応戦します。この回はチューがプレッシャーを強めてきた感じです。チューの左ボディフックがハリソンをとらえます。しかし、ハリソンも頑張りますね。
チューがギアチェンジ
9ラウンドはチューの左ジャブでスタート。チューの速い左ジャブでハリソンの顔が上がります。この回は珍しくリング中央で戦っていますね。そしてラウンド中盤、チューの右ストレートがヒット。さらに、残り1分、チューの右フックがハリソンの左ボディにヒットし、ハリソンの体が前のめりになったところへ、今度は右フックを顔面に3連打。これは効いた!
下がるハリソンをチューが追い打ちをかけます。ここでもハリソンはボディワークを使って、パンチを殺しています。しかし、チューの右アッパーがハリソンの顔面を突き上げ、さらに狙いすまして4連発、その後とどめの右フックでついにハリソンが崩れ落ちました。
何とか立ってきたハリソンですが、レフリーが試合をストップしました。
ティム・チューが9RTKO勝ちで、タイトルを獲得しました。親子2代の世界チャンピオンですね。
さあ、次はジャーメル・チャーロです。