目次
■序盤でペースを握ったのは正解
東洋太平洋Sフライ級王座決定戦
井上拓真VSマーク・アンソニー・ヘラルド
まさか負けるとは思っていませんでしたが、予想以上に厳しい戦いだったようです。
この試合のキーポイントは序盤でいかにペースを握るか、でした。
ヘラルドは5敗していますが、そのほとんどが先にペースを握られた場合が多いという事でした。
どうやら前半は完全に井上のペースで進んだようです。
おそらく井上もこの時点で勝利を確信したでしょうね。
■この試合の課題は後半戦
KOを意識しながら後半戦に臨んだでしょうが、8ラウンドには逆に相手のパンチで腰を落としていますし、最終回(12回)にはスリップ気味?(一部報道によると)ダウンも喫しています。
原因はよくわかりませんが、スタミナよりも集中力の持続のような気がします。
ヘラルドのダーティなクリンチワークにも苦労したようですし、こういう老獪なテクニックに集中力を欠く場合がよくあります。苛立ちでボクシングが雑になる選手も多いですね。
■井上尚弥(兄)が指摘
偉大な「怪物」と称される兄に比較されるのは辛いところですが、井上尚弥に比べると明らかにここ一番での決め手に欠くのは事実です。ここまで4勝していますがKOはわずか一つだけ。兄が8勝7KOですから、そのパンチ力の差は歴然としています。
しかし兄は「倒すチャンスは3回ほどあったが、そこからの畳み掛ける攻撃がなく、見てしまっている」「もっとプロとして見せる試合を」と手厳しい指摘。
YouTubeを見ていても、スピード、テクニックは兄尚弥に見劣りしません。が残念ながら全般的に手数が少ない。もっとコンビネーションを打てれば、十分KOを狙えると思います。要は少ないチャンスを連打でものにできるかどうかがKO率につながるのですから。
■来年には世界?
改めて気が付いたのですが、井上拓真はまだ19歳なんですね。いくらアマチュアで実績があるとはいえ、普通ならまだ8回戦ぐらいの試合をしていてもおかしくないです。
焦って世界を狙う必要は全くないと思います。せっかくつかんだ東洋太平洋タイトルをしっかり防衛していくことが最優先ではないでしょうかね。
会長は「来年、世界を狙う」と調子のいいことを言ってますが、焦ることはないでしょう。
でも、次は世界だ!と言わないところは、さすがの会長も冷静に分析しているのでしょう。
スタミナ強化も大事ですが、私は手数が一番だと思います。チャンスに畳み掛ける連打が打てるかどうかが、プロとして見せるボクシングだと思います。
少ない有効打で打たれずにきれいに勝っても、ファンは喜びません。
この試合、後日夜中に放映されるということですが、おそらく関東地区限定でしょうね。残念です。もっと派手な選手になって全国放送されるようになってください。