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伊藤雅雪(伴流)VSベルケル・プトン(フィリピン)
ライト級10回戦(2018年3月3日)
(出典:日テレG+)
伊藤は24戦22勝11KO1敗1分け、27歳。
WBOアジアパシフィックS・フェザー級王者。WBO1位をはじめ、すべて団体で世界ランクに顔を出しています。
伊藤は、この試合を世界前哨戦と位置づけています。
プトンは26戦17勝8KO9敗、28歳。フィリピンS・フェザー級10位。
力の差は歴然
初回から、伊藤の右ストレートのタイミングが合っていました。
そしてラウンド終盤、もみ合って離れる瞬間に、伊藤の右ストレートの打ち下ろしがヒットすると、プトンの膝が折れ大きく体勢を崩します。私はこのパンチが一番効いたような気がします。
(右ストレートの打ち下ろしがプトンの顎をとらえ、大きく体勢を崩します)
2ラウンドには絶妙のタイミングで伊藤の右ストレートがプトンのボディにヒットし、バランスを崩すようにプトンがダウンしました。
(伊藤の右の当て勘は素晴らしいですね。少しプッシュ気味でしたがダウンを奪います)
しかし、これはバランス崩しただけで、ほとんどダメージはなかったと思います。
3ラウンドからは試合は一方的になってきます。
伊藤は多彩な左ジャブを駆使し、右ストレートを再三ヒットさせます。
(右ストレートの当て勘は抜群です。ほぼ狙い打ちですね)
7ラウンドにヒヤッと
一方的な伊藤ペースで再三パンチをヒットさせますが、プトンは予想以上にタフで、なかなか決定的なダメージを与えることが出来ません。
油断すると、打ち終わりを狙ってパンチを放ってきます。
そして、伊藤が強めに出て、明らかに倒しに行った7ラウンドに、危ない場面がありました。
このラウンドもほぼ一方的で、伊藤がコーナーに詰めて強引にパンチを放っていったとき、プトンの右フックのカウンターが伊藤の顎をとらえ、伊藤がガクッと腰を落とします。
(強引にコーナーに詰めて連打する伊藤に、プトンの右フックカウンターが飛んできました)
うまくクリンチで逃げ、大事には至りませんでしたが、ヒヤッとした場面でしたね。
判定かな思った終盤にやっと
8ラウンドは少し休憩した感じの伊藤が、9ラウンドに一気に出ます。
最初のダウンは右を引っ掛けて倒した感じでしたが、プトンの足の踏ん張りがなくなってきているのは明らかです。
(ちょっと右引っ掛けて倒した感じのダウン
止めのダウンも、最後はプトンが右空振りして自分から転んだような感じでしたが、そこまでの伊藤の右が効いていたのでしょう。
(コーナーに詰めて右のアッパー、右ストレートの連打。このパンチが効いていました)
(最後は、自らバランスを崩して倒れた感じのダウンでしたが)
7ラウンドのヒヤッとした一瞬を除いては、ずっと伊藤のワンマンショーでしたから、レフリーがこのダウンで試合をストップしても仕方がないでしょう。
随所に上手さを見せ、左のジャブも多彩で、しかも右ストレートの当て勘は抜群。残念なのは決め手のパンチ力だけですね。
この日も結局、相手を完全にノックアウトしたTKOではありませんでした。
まあ、ライト級は伊藤には少し重いですね。随分余裕が感じられる体つきでしたから、私にはフェザー級まで絞れるように見えました。
現在、WBO1位ですが、WBO王者はあの天才ワシール・ロマチェンコです。
ただ、ロマチェンコはライト級へ上げるという噂もあり、空位になれば伊藤にチャンスが巡ってくるでしょう。