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オルランド・サリド(メキシコ)VSミゲール・ローマン(メキシコ)
S・フェザー級10回戦(2017年12月10日)
(出典:WOWOW)
尾川堅一が世界タイトルを奪取した試合のラスベガスのメインは、大番狂わせとなりました。
サリドは、62戦44勝31KO13敗4分け1NC、37歳。
WBC1位、WBOでも1位にランクしている歴戦の雄です。なにせあのワシル・ロマチェンコに、唯一の黒星をつけているんですからね。
三浦隆司さんがTKO負けしたフランシスコ・バルガスと引き分け、その後2連続KOで、この試合にいどみます。
ローマンは、今年の2月に三浦隆司さんにTKO負けして、その後KO勝ちで再起を果たしています。
69戦57勝44KO12敗。WBC5位、32歳。
まさに生き残りを賭けた「超」ベテラン対決です。60戦を超えた同士の対決は、そうそう見られるものではありません。
順当なら、激闘王サリドが後半にローマンを倒すでしょうね。
いきなりサリドの右フック
前に出てプレッシャーをかけるのは、背の低いがっしりしたローマン。
三浦さんと対戦した時、こんなにプレスの強いイメージはないのですが、この日はサリドがローマンのパワーに押されています。
しかし、1ラウンド終盤にサリドの右フックがさく裂。ローマンが大きく体勢を崩しました。
(見えない角度から飛んでくるサリドの右フック)
サリドのあの外からくる右フックは見えないかもしれませんね。
かなりダメージがあったようです。
ローマンのパワーに押される
しかし、ローマンのプレッシャーはかなりのもです。しかも連打の回転が速いので、早くもローマンがペースを握ります。
よくこんな相手に三浦さんは勝ちましたね。
そして、4ラウンドには、サリドの足が揃ったところへ、ローマンのタイミングのいい右ストレートはヒットし、バランスを崩すようにサリドがダウンします。
(サリドが攻勢に出たところへタイミングのいいローマンの右ストレートがヒット)
ダメージはさほど盛ったようですが、このダウンで流れが大きく変わります。
サリドの得意な距離を殺し、ローマンが接近戦でサリドをロープに詰める場面が多くなります。
時折、いいパンチを放ちますが、完全にローマンのパワーに押され、サリドは下がりながらの応戦を余儀なくされます。
勝負をかけたサリドがまたダウン
明らかに疲労の色が見えるサリドが、6ラウンドに勝負をかけて攻勢に出ます。
見た目はサリドがプレッシャーをかけて、ラウンドを支配している感じですが、サリドは一杯一杯、むしろローマンの方に余裕がありように見えます。
それでもサリドはローマンをロープに詰めて連打します。
しかし、いつものパンチのキレがありません。
そして、8ラウンドにローマンが決定的なダウンを奪います。
サリドを連打で追いつめ、左ストレートで2度目のダウンを奪いました。
このダウンは明らかにダメージが感じられました。
(連打で追いかけとどめの左ストレートがヒット)
サリドの気持ちが折れたかに見えましたが、立ってきたサリドはしぶとく反撃します。
ローマンの猛攻に心が折れる
サリドはここで下がる訳にはいきません。必死に応戦します。
しかし、残されたスタミナに明らかな差がありました。
ローマンがロープに詰めて連打すると、さすがのサリドも心が折れて、崩れるようにダウン。レフリーがすぐにストップしました。
(もうサリドに余力は残っていませんでした。連打で崩れるようにダウン)
9ラウンドTKOで、なんとローマンが生き残りました。
この敗戦で、サリドはロマチェンコとの再戦はほぼなくなったと言えます。
この日のサリドは、負けるときのサリドですね。
もう引退かなとも思えますが、こんなサリドがあっても、今までは不思議と蘇ってきます。でも、さすがに…。
そして、あらためて三浦隆司さんの強さを実感した次第です。