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ホセ・ペドラサ(プエルトリコ)VSジャーボンテイ・デービス(アメリカ)
IBF世界Sフェザー級タイトルマッチ(2017年1月14日)
(出典:WOWOW)
ペドラサは22戦全勝12KO、27歳、スイッチヒッター。これが3度目の防衛戦です。
174㎝の長身で、私は以前、こんにゃくボクサーと名付けました。
柔らかいディフェンスで、なかなかやりにくいボクサーです。
ジャーボンテイ・デービス(ボクシングマガジンではゲルボンタ・デービスとなっていますが、Gervontaはエキサイトマッチを見ていると、どうもジャーボンテイとアナウンスしているように聞こえます)は16戦全勝15KO、22歳のサウスポー。
IBF8位ながら、フロイド・メイウェザーの秘蔵子として期待されています。
しかし、このこんにゃくチャンピオンはそう簡単には倒せないでしょう。
凄い身体能力の挑戦者
デービスは身長166㎝ながら、フットワークが速く、リーチの差は全くハンデになっていないようですが、意外にも、長い右ジャブを持つペドラサが前に出て、デービスが下がる展開で始まりました。
離れて戦っても踏み込みの速いデービスには、懐の深さを活かせないという判断なのでしょうか。それとも、西岡さんの言うように、勢いのある挑戦者にイニシアティブをとらせない作戦かもしれません。
デービスはペドロサの打ち終わりを狙って、速い左フック、ものすごい角度のアッパーを放ち、早くもその身体能力の高さを見せつけます。
しかもメイウェザーばりのL字ガードでペドラサのパンチを空転させ、ディフェンス勘も抜群です。いつの間にこんなにディフェンスが良くなったのでしょうね。
3ラウンドにはペドラサのパンチを見切る
ペドラサは前に出てパンチを放つものの、ほとんどのパンチはデービスの堅いディフェンスに阻まれ、3ラウンドには早くもパンチを見切られたように見えました。
その打ち終わりにデービスの速い連打にさらされ、苦しい展開になってきました。
しかし、4ラウンドからペドラサは奇声を発しながら、少しテンポアップして連打を放ちだします。クリーンヒットは許さないものの、デービスは手数が減り守勢に回りました。
(秘蔵子の攻勢に手をたたいて喜ぶメイウェザー氏)
ボディブローでペドラサが止まる
ペースを取り戻しつあったペドラサですが、6ラウンドのデービスの強烈なボディブローで失速。そして、ガードの下がったペドラサの顔面にデービスの重いパンチがヒットします。
浜田さんが「チャンピオン苦しいですね。」
(このレバーブローは効きましたね。しかも、ガードが下がるとデービスのパンチが顔面に飛んできます)
このボディブローで流れは完全にデービスに移りました。
7ラウンドに勝負に出たペドラサですが、またもデービスにボディを叩かれ、またピンチに立たされます。
最後はデービスの狙いすました右フックを被弾し、ついにダウン。
(この狙いすました右フックをまともに喰ってはたまりません)
なんとか立ってきましたが、レフリーがストップしました。
7ラウンド、2分36秒、TKOでデービスがタイトルを獲得しました。
強豪との対戦経験がないという危惧も、杞憂に終わりました。
ペドラサは22戦全勝の世界チャンピオンで、なかなかの曲者です。しかし、デービスは全く危ない場面がなく、相手の攻撃を完封し、圧倒的な強さを見せディフェンスの良いチャンピオンを倒したのですから「すごい」の一言です。
私の見る限りでは、この日のデービスに欠点らしいものは見当たりませんでした。
以前指摘したディフェンスの甘さも完全に修正されていました。
三浦隆司も内山高志もこのデービスには太刀打ちできないでしょう。
ロマチェンコに新たな強敵が出現しました。しかし、ロマチェンコが前半をうまくさばけば、唯一試されていないデービスのスタミナに、つけ入るスキが生まれるかもしれません。
とにかく、Sフェザー級にとんでもない超新星が現れました。