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ルイス・オルティス(キューバ)VSマリク・スコット(アメリカ)
WBAインターコンチネンタルヘビー級王座決定戦(2016年11月12日)
(出典:WOWOW)
オルティスは、WBAが指名した挑戦者のアレクサンデル・ウスティノフ(ロシア)との対戦を拒否したため、WBA世界ヘビー級暫定王座を剥奪されてしまいました。
27戦25勝22KO2NC、37歳の正統派サウスポーです。
スコットは41戦38勝13KO2敗1分け、36歳。こちらは右構えのオーソドックススタイルですが、ボクサーというより、マラソンランナーみたいなやつです。
デオンテイ・ワイルダーには1RKO負けを喫しています。
とにかく逃げまくるスコット
これほど逃げるボクサーは珍しいですね。
「逃げるは恥だよ、ヘビー級ボクサー。」
1ラウンドからスコットは逃げまくります。
オルティスが必死で追いかけますが、とにかく逃げ足が速い、速い。
それでも、少しずつ追いつめ、ついに4ラウンドに捕まえたかに思えました。
クリンチして押し倒したように見えましたが、左フックがテンプルにヒットしたようです。
大したダメージはなさそうですが、こいつは(スコットのことです)パンチを受けたらすぐにダウンして、追撃をうまく回避します。小ずるい奴です。
そして、小憎たらしいぐらい、ディフェンスだけはうまいのですよ。
(クリンチして離さないので、左フックをテンプルにたたきつけたオルティス)
そろそろ捕まえるかな
5ラウンドに左フックでダウンを奪ったときは、さすがにそろそろ捕まえるかな、思いました。
(左フックがヒットしてダウンしたのに、後頭部を押さえてアピールする役者ぶり)
しかし、スコットはのらりくらりとオルティスのパンチをかわし、追撃を許しません。
さすがにオルティスもこれだけ逃げまくる相手に、手を焼き始めました。何度も言いますが、こいつはホントにパンチを避けるのだけはうまいのです。
7ラウンドにはスコットのヘディングでオルティスがよろめきます。
スコットのパンチがヒットしたように見えましたが、スロー再生では、スコットの頭だけがヒットしていました。
恐らく、このラウンドだけ、2人のジャッジが10-10をつけたのだと思います。
(スコットの必殺ヘッドバッドのカウンター。これは効くでしょう)
9ラウンドにもオルティスの左ボディブローがカウンターでヒットし、スコットはまたもやダウン。
(ヘビー級では珍しい、ボディブローのダウン)
これもオルティスの追撃から逃れるためのダウンです。
大したダメージはありません。
最後まで逃げまくるスコット
スコットのパンチは、先ほどのヘッドバッドのカウンター以外は、大振りの右フックカウンターだけ。これもオルティスに読まれて、ほとんどヒットすることはありません。
後はオルティスが追いかけ、スコットが逃げる、というラウンドがほとんど。
アメリカでやってたら、ブーイングどころか物を投げ入れられてたかもしれません。(会場はモナコ、モンテカルロ)
私は、9ラウンドのボディブローでダウンしたところでストップしても良かった思います。
そして、スコットは12ラウンドを逃切ることに成功しました。
3-0(120-115、120-116、120-116)。
15ポイントも差がついた判定は、あまり記憶にありません。
スコットはマラソンに転向した方がいいですね。
オルティスは、さぞかしストレスのたまる試合だったことでしょう。