目次
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)VSニコラス・ウォータース(ジャマイカ)
WBO世界Sフェザー級タイトルマッチ(2016年11月26日)
(出典:WOWOW)
結果は速報でお知らせしましたが、それにしても、あのノニト・ドネアをKOしたウォータースが、まるで別人のように情けない結末でTKO負けしました。
倒されて負けるなら文句はありませんが、全くなすすべがなくなって、戦意喪失でギブアップとは、なんとも話になりません。
ジョー小泉さんが「あそこでやめたらプロとはいえませんね」と言うように、まだまだ十分戦えましたよ。
ロマチェンコは7戦6勝4KO1敗、28歳のサウスポー。アマでの戦績が396勝1敗と、驚異的な数字を残しています。
ウォータースもドネアをKOしてから、今一つパッとしませんが、それでも27戦26勝21KO1分け、30歳。まだ負け知らずで、8割近いKO率のハードパンチャーです。
ロマチェンコにとっては、今までで一番危険な相手と言えるでしょう。
身長はあまり変わりませんが、リーチはロマチェンコの168㎝に対して、ウォータースは185㎝もあります。
ウォータースの長い左ジャブをかいくぐって、果たしてロマチェンコがウォータースにパンチをヒットできるのでしょうか。
怖い右カウンターが待っていますよ。
速すぎるロマチェンコ
さすがにロマチェンコもウォータースのパンチを警戒して、初回は距離を取って戦います。ウォータースが互角に戦ったのは、このあたりまでです。
ラウンド終盤には速い踏み込みで中に入りパンチをヒットしますが、ウォータースのパンチは空転。1ラウンドでロマチェンコはウォータースの動きを見切ったように見えました。
序盤はロマチェンコもまだ強いパンチは打ちません。軽いパンチをコツンコツンと当て、ウォータースのパンチは完全に外します。
とにかく、ウォータースの左ジャブが全く当たりません。
強引に前に詰めますが、ヒラリヒラリと左に回られ、右ストレートもほとんど届きません。
(序盤に放った軽い右ストレートがウォータースの唯一のクリーンヒットでしょう)
4ラウンドに入るとロマチェンコの足はさらに速くなります。
ウォータースは追いかけるのをやめ、強いパンチをカウンターで狙う作戦に出ます。
しかし、ロマチェンコはパンチを放つとすぐに右に(ウォータースの左)に回り、ウォータースの反撃をかわします。
(左ジャブを放つとすぐにウォータースの左に回ります)
ロマチェンコは回を追うごとに動きが加速
相変わらずロマチェンコのパンチは手打ちで軽く、ウォータースにダメージを与えるようなシーンはありませんが、とにかく手数はどんどん増えていきます。逆にウォータースは手が出なくなっていきます。
圧巻だったのは7ラウンド。
もうロマチェンコはウォータースの動きを完全に見切っており、まるでレッスンでもするように好き放題に動き、サンドバックのようにウォータースにパンチを放ちます。
(左アッパーから右ストレート)
(そしてすぐに右に回り左ストレートヒットします)
ウォータースはもうなすすべなしです。
そして、7回終了、まさかまさか、ウォータースがギブアップしました。
(もういや!)
まだ、ロマチェンコはダメージを与えるようなパンチはほとんど打っていませんので、ウォータースにそれほど深刻なダメージはないはずです。
しかし、これ以上戦って勝ち目はないと思ったのでしょうね。
恐らく、この後、ロマチェンコはウォータースの戦力を測りながら、強いパンチを打ちこんでくるはずです。
ウォータースは、倒される前にギブアップしたのでしょうね。
それにしても、「これから面白くなる」と誰もが期待した途端に「おしまい」はないでしょう。