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萱沼徹平VSアンドリュー・パラス(フィリピン)
フェザー級6回戦(2016年7月12日)
(出典:日テレG+)
新人王獲得後の初戦は左フック一発で、わずか1ラウンド43秒KOで勝利し、強打を見せつけましたが、今回のパラスは12回戦も経験しているしぶとい相手です。しかも、初めての外国人相手です。
萱沼は日本フェザー級14位、8戦7勝5KO1分け、22歳です。
パラスは、11戦5勝2KO5敗1分け、22歳。
萱沼の動きはいつものようにきびきびして、体にスピードとばねを感じますね。
フィリピン人ボクサーはボディが弱いと思ったのか、初回からKOを狙って、左ボディで強引に攻めます。
2ラウンドに萱沼が鼻血を出し、前に出て試合をコントロールしているものの、若干苦しい試合展開を強いられます。
中盤は、鼻血の影響からか、萱沼がしぶといパラスを攻めあぐね、パラスも左ジャブで応戦します。萱沼がペースを握りながらも互角の展開になってきました。
しかし、萱沼にとっては未知のラウンドの5回に入ると、また萱沼が左ボディとアッパーでバラスを圧倒し、最終6ラウンドは終盤猛攻を見せました。あと一歩倒し切れなかったものの、見せ場を作りました。
萱沼は左ジャブが少ないですね。今日は上下の打ち分けも少なく、課題を残しましたが、最後までKOを諦めなかった勝負根性だけは素晴らしいと思います。
正木脩也VS島倉裕也
ライト級8回戦(2016年7月12日)
(出典:日テレG+)
この日のセミファイナルに、帝拳ジムのホープ、正木が登場しました。4戦4勝2KO、22歳です。
相手の島倉も10戦7勝3KO1敗3分け、21歳。
1ラウンドは正木が、自分の距離を保ち、前に出る島倉をうまくさばいていました。
しかし2ラウンドに入ると、島倉がプレッシャーを強め、距離を詰められます。
クリーンヒットの数では正木ですが、島倉は前に出て手数で上回ります。
5ラウンドぐらいから、ようやく正木がペースを取り戻し、左ボディから左右フックを放ち、島倉の前進をうまくさばきます。
終盤はお互いに疲れが見え、さすがの島倉もプレッシャーが弱くなってきました。
最終回は、正木が猛攻を見せ、島倉はストップ寸前まで追いつめられましたが、ゴングに救われました。
3-0(79-74、79-73,79-73)の大差で正木が判定勝利をものにしました。ちなみに私の採点も79-93でした。
正木はライト級にしてはパンチ力がないですし、もう少しフィジカル面でのパワーアップも必要ですね。
岩佐亮佑VSパトムシット・パトムポン(タイ)
56キロ契約フェザー級10回戦(2016年7月12日)
(出典:日テレG+)
岩佐は23戦21勝13KO2敗、26歳のサウスポー。
IBF世界フェザー級10位のパトムシットは20戦15勝5KO5敗の平凡な戦績で、天笠尚には判定負けしています。
一応、一度もKO負けがない!という34歳、サウスポーです。
この日の岩佐はいつになく落ち着いていました。この冷静さが世界戦であればな~と。
パトムシットは右ジャブでけん制してきます。岩佐はそれを落ち着いてさばき、パトムシットの距離を測っています。
ラウンド終盤に、岩佐が右ボディを決め、これがかなり効いた感じでした。
(右ボディがみぞおちに決まる)
2ラウンドに入ると、パトムシットが前に出て、強引に大きなパンチを振り回しますが、岩佐をこれを冷静にさばきます。
そして、2分過ぎに、左ボディブローでダウンを奪いました。
(パトムシットはボディをもらうと、しばらくしてからしゃがみ込むようにダウン)
この日の岩佐が見事だったのは、ボディが効いて頭が下がるパトムシットに、狙いすましたように右アッパーをヒットしたことです。
いつもなら強引にボディを攻めまくるところですが、冷静に相手を見て、一味違う岩佐を見せてくれました。
(狙いすました右アッパー。このパンチは見事でした)
2発目のアッパーは左。そしてとどめのアッパーも左。もう完璧な畳みかけでした。パトムシットをほめるとしたら、このアッパーを村いながら、2度立ってきたことぐらいですね。
この選手が、世界10位なのが不思議でなりません。
(この左アッパーは、パトムシットがもう立ってこないのでは、と思うような倒れ方でした)
(とどめの左アッパー。さすがにもう立ってきませんでした)
今日(2016年7が20日)、和氣慎吾がIBFのSバンタム級タイトルをとったら、ぜひ岩佐と防衛戦をやってほしいですね。
そのためにも、和氣に「つくりものの21勝21KO」のジョナタン・グスマンの化けの皮をはがしてもらいたいと思います。