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オスカル・バルデス(メキシコ)VSイブゲニー・グラドビッチ(ロシア)
NABO北米フェザー級王座決定戦(2016年4月9日)
(出典:WOWOW)
パッキャオVSブラッドリーのアンダーカードで行われたこの一戦が、私にとってはこの日の試合の中では一番見応えがありました。
グラドビッチは23戦21勝9KO1敗1分、29歳。
2015年5月にリー・シェルビーに負傷判定でIBFタイトルを失いましたが、IBF6位にランクされている実力者です。
一方のバルデスはWBO1位で、メキシコで今最も期待されているホープです。戦績は19戦全勝16KO、25歳。この試合が将来を占う大事なテストマッチとなります。
この試合、4月10日の朝11時からWOWOWで生中継されましたが、すでに試合は2ラウンドになっていました。
グラドビッチがプレッシャーをかける
前に出てプレッシャーをかけるのは173㎝のグラドビッチで、やや小柄なバルデスが下がりながらコンパクトなパンチを的確にヒットしていました。
おそらくこの展開は1ラウンドも同じだったでしょう。
グラドビッチのプレッシャーはかなり強く、いつもは対戦者を追い回し、鋭いコンビネーションで相手をねじ伏せてきたバルデスも、この日はやむなく下がりながらの応戦を強いられます。
パンチが的確なのはバルデス
常に前に出て攻勢をかけるグラドビッチが一見優勢に見えますが、グラドビッチは前に出るものの手数は少なく、そのパンチもほとんどバルデスにヒットしません。
むしろ、下がりながら打つバルデスのパンチの方が、手数も圧倒的に多く、的確にグラドビッチの顔面にヒットしていました。
3ラウンドにはその両者の力量差が歴然としてきました。
ヒットするのはすべてバルデスのパンチです。特に左ジャブが強くて速いですね~。
そして、4ラウンド。下がりながらコンパクトにパンチを打っていたバルデスが力を込めてパンチを打つようになります。グラドビッチはもはやサンドバックのように打たれ始めます。
残り1分弱。バルデスが右ストレートから、グラドビッチの左ジャブをかわしカウンターで左フックをヒットしました。これでグラドビッチがダウン。
グラドビッチの倒れ方を見て、「これは立てないな」と思ったほど強烈なパンチでした。レフリーもそのダメージを見て、カウント5でストップしました。
(グラドビッチの左ジャブに合わせて左フックをカウンターを打つ)
(崩れるように倒れたグラドビッチのダメージは深刻)
(打った後、相手の倒れるのを確信したように見つめる余裕のバルデス)
世界タイトル返り咲きを狙うグラドビッチですが、全くいいところなく完敗しました。
解説の浜田剛史さんも「グラドビッチ、この負けは完全なる負けですから痛いですよ」。つまり再戦しても勝つ可能性が全くない完全な力負けということです。
グラドビッチの再起戦 ↓
浜田さんは「世界を狙うならもう少し爆発力がほしい」と言っていましたが、私はこれでもう十分世界を狙える逸材だと思いますよ。
NABOはWBO傘下の地域タイトルですから、次の標的はワシル・ロマチェンコになる訳ですが、どうもロマチェンコはSフェザー級へ階級を上げるという話が出ています。
私としては、ロマチェンコVSバルデスが見たいですね。