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アルツール・アブラハム(ドイツ)VSヒルベルト・ラミレス(メキシコ)
WBO世界Sミドル級タイトルマッチ(2016年4月9日)
(出典:WOWOW)
パッキャオVSブラッドリー戦に行われた、もう一つの注目のアンダーカードです。
私はメインよりもアンダーカードを楽しみにしていました。
オスカル・バルデスVSイブゲニー・グラドビッチともう一つがこの試合です。
凡戦の帝王アブラハムが、ラミレスの強打(33勝24KO無敗)を受けてグロッキーになるシーンを楽しみに見ていたのですが、残念ながらその願いはかないませんでした。
アブラハムの両手はガード専用
例によって両腕を高く上げてがっちりガードし、ひたすらプレッシャーをかけて前に出るアブラハムに対して、ラミレスは右ジャブから左ストレートカウンターを狙います。
そして、2回。ラミレスの右ストレートがクリーンヒットしました。
これは結構ダメージがあったようで、体勢を崩したアブラハムはクリンチでこの回をしのぎました。
「これは、早い回に念願のシーンが見られるかも」と期待しました。
(この右ストレートは強烈でした)
とにかくアブラハムはガードを固めて前に出るだけで、ほとんどパンチを打たず、両手は専らガードに使い、全くボクシングをしません。
ラミレスはその堅いガードの上からコンパクトにパンチをヒットし、時折打つ右ボディブローが効果的でした。このパンチでアブラハムはますますガードが固くなります。
たまにアブラハムがパンチを繰り出しますが、力みすぎてバランスを崩すだけで、全くヒットしません。ガードばっかりしてパンチの打ち方を忘れたのかな?と思うほど下手でしたね。
ボディブローが効果的
上下の打ち分けが上手いラミレスは、堅いガードの上をたたきながら、長いリーチ(身長189㎝)を使って右ボディを効果的にヒットさせます。
アブラハムはラミレスの強打を腕でカバーしていましたが、5ラウンドあたりから、腕をだらんと下げて、腕を休ませるようなしぐさをするようになります。
7回にもう一度ラミレスのパンチでアブラハムがバランスを崩すシーンがありましたが、どうしても堅いガードを崩すことが出来ません。
(この後、ラミレスが畳みかけようとしますが、堅いガードに阻まれます)
このあたりから、ラミレスは倒すことを諦め、フットワークを使い、コンパクトなパンチをヒットしていく戦法に切り替えます。
一方のアブラハムも必死に攻勢に出ますが、不細工なパンチの打ち方で、全くラミレスにヒットしません。
(後半はコンパクトなパンチでポイントをゲット)
最終回もラミレスの手数は減ることなく、フットワークも止まりません。結局、12ラウンド、アブラハムは何もできずに終わりました。
120ー108のスコアで、ラミレスがタイトルを奪取しました。
こういう完封のスコアを「シャットアウトデシジョン」と言うそうです。
アブラハムはチャンピオンはガードしてたら、パンチを打たなくても勝てると思ったのでしょうか。とにかくパンチの打ち方を忘れたのなら、もう引退してください。