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レオ・サンタ・クルス(メキシコ)VSキコ・マルチネス(スペイン)
WBA世界フェザー級タイトルマッチ(2016年2月27日)
(出典:WOWOW)
私があまり評価していなかったサンタ・クルスが、あのキコ・マルチネスをあっさりTKOするとは思いもよりませんでした。
直近で2連敗しているとはいえ、長谷川穂積を7ラウンドTKOに破っているマルチネスは、フェザー級でも十分危険なボクサーだと思っていました。
連敗の相手はカール・フランプトンとスコット・クイッグですから、これは相手が悪かったですね。
分厚い体をしたマルチネスは、Sバンタム級からフェザー級に上げても決してフィジカル面でサンタ・クルスにひけをとっている感じはありませんでした。
まさかの初回2度ダウン
マルチネスがサンタ・クルスの長いリーチと、角度のいいパンチに戸惑って、本来の動きを発揮する前にサンタ・クルスのオーバーハンドライトを被弾し、あっさりダウンを奪われました。
(1回目のダウンは右オーバーハンド)
それほどダメージがあるようには思えませんでしたが、2度目のダウンは深刻なダメージを負いました。左フックから右ストレートのカウンターが完璧なタイミングでヒットしました。このパンチは速かったですね。
(この2度目のダウンがすべてだったように思います)
前に出ないと力を出せないマルチネス
2ラウンドはマルチネスが前に出て、ダウンのダメージを感じさせない積極的な攻撃で、今度はマルチネスがダウンを奪い返したように見えましたが、これはスリップの判定。
解説の浜田剛史さんが「パンチが当たってますから、ダウンを取るレフリーもいるでしょう」。これがダウンの裁定なら、打ち気にはやるマルチネスの心理面に、かなりプラスになったことでしょう。ひょっとしたらこの後の展開も変わっていたかもしれません。
(ナックルが返ってなく、ひっかけて倒した感じですね)
3ラウンドも同じような展開です。距離を詰めてプレッシャーをかけるマルチネスの手数は相当なものです。かなり強引な感じもしましたが。
時折サンタ・クルスも反撃をしますが、ペースはマルチネスが握っていました。
距離を取り戻すサンタ・クルス
このままずるずるとマルチネスのペースで試合が進むかに見えましたが、そうはさせないのがサンタ・クルスのうまさですね。
4ラウンドは左ジャブを多用し、下がる展開は変わらないものの、距離は明らかにサンタ・クルスが支配していました。
サンタ・クルスの右カウンターも決まり出し、手数もマルチネスを上回っていました。一方のマルチネスは距離が遠く、パンチの精度が極端に悪なっていました。
5ラウンドも距離はサンタ・クルス。マルチネスがカウンターをもらう場面が増えていきます。
そして、強引に前に出たマルチネスの顎にサンタ・クルスのアッパーカットがクリーンヒットしました。
このパンチで明らかにマルチネスは失速。そして一気にサンタ・クルスがストップ狙いの連打をまとめ、マルチネスをロープにくぎ付けにしたところで、あっさりとレフリーがストップしました。
(ストップ狙いの畳みかけ方が上手い)
初回のダウンを挽回しようと、いつもより強引なボクシングをしてしまったマルチネスに隙が生まれたのでしょうか。
マルチネスはまだ29歳。衰えるにしては早いような気がしますが、打たれもろくなっているのは間違いないですね。
結局この日も、私にはサンタ・クルスにパンチ力があるようには思えませんでしたし、強い、というインパクトもありませんでした。たまたまタイミングよくパンチが決まりましたが、おそらく再戦したら判定決着なるでしょう。
でも、パンチを打つ角度、タイミング、試合運びは相変わらずうまいですね。
長谷川はフェザー級でマルチネスと再戦しても、また倒されるような気がします。長谷川のパンチ力ではマルチネスを倒すことは無理です。
むしろサンタ・クルスの方が、長谷川にはチャンスがあるように思えて仕方がありません。どうしてもサンタ・クルスが強いとは思えなんですよ。