目次
■急に強くなった和氣
IBF世界Sバンタム級指名挑戦者決定戦(2015年6月10日)
和氣慎吾VSマイク・タワッチャイ(タイ)
和氣は不思議な選手ですね。
24戦18勝11KO4敗2分とそれほど大した戦績でもないんですよ。なのに東洋太平洋タイトルを5回防衛し、しかもすべてKO勝ちです。
KO率も低いし、4敗もしているのも腑に落ちません。
調べてみますと、2012年までにすでに4敗していて、KO率も低く、まさしくぱっとしない選手でした。
飛躍したのは、ここまで無敗だった小國以載のもつ東洋太平洋タイトルに挑戦して、圧倒的に不利の予想を覆してTKO勝ちをしてからです。(まあ小國もたいしたことないですけどね)
それからは山中のゴッドレフトほどではないにしても、スピード豊かな左ストレートでKOを量産しています。ホントに不思議な選手です。
■世界3位を圧倒
タワッチャイはこの3年間負けなしの9連勝中、6位の和氣に対して上位の3位、バリバリの世界ランカーです。同じタイでもいつもの観光ボクサーとは別物です。
しかし、和氣は2回ぐらいから相手の距離をつかんだようで、速い左ストレートをビシビシ決め、早くもペースをつかみました。前半は完全にスピードで圧倒。
後半に入るとセコンドから当然のようにゴーサインが出て、右ジャブから左ストレートのコンビネーションを何度も決め、KO態勢に入ります。
しかし、ガードの硬いタフなタワッチャイも和氣の打ち終わりを狙い、大きな右フックを振り回し、そう簡単倒れてくれません。ガードが下がる欠点のある和氣はたまにこれを被弾し、まだまだ世界3位のパンチは危険性を残していました。
■鬼塚さんのアドバイス
観戦していた元世界チャンピオンの鬼塚勝也さんにインタビューしたリングサイドのアナウンサーいわく、「右ボディをもっと多用した方がいいとのアドバイスです」
ところがこのコメントに対して、解説の畑山さんは、「ボディが効いている感じはない。KO狙わないで集中力を絶やさずこのペースで」と反論。
私は鬼塚さんに賛成。
たまに打つ和氣の右ボディでタワッチャイの動きが止まっていましたから。
そして明らかにボディが効いてきたのは10回です。
最終回は(この試合は正規の挑戦者決定戦なので12回戦で行われている)当然のようにタワッチャイが攻勢をかけていきました。結構効果的なパンチが和氣にヒットし、さすがにスタミナ切れかなと思っていたら、和氣の右ボディフックが決まると、今度は明らかにタワッチャイが失速。これが最後にダウンを奪う布石になったと思います。
結局判定でしたが、10ポイント前後の大差をつけた文句なしの圧勝。
■カール・フランプトンは強敵
7月18日にアレハンドロ・ゴンザレス(メキシコ)と防衛戦を予定していますが、問題なく勝つでしょう。
フランプトンは長谷川穂積をKOしたキコ・マルチネスに挑戦し、なんと圧勝しています。
テクニックはもちろん、パンチ力もありますし、相手によって自在なボクシングができます。ガードの低い和氣が、冷静さを失って打ち合うと倒される危険性は大きいですね。
逆にガードの固いフランプトンに左ストレートを当てるのも難しいでしょう。しかも開催地は敵地イギリスになります。
これで和氣が勝ったら、「頭を丸めましょう!」